桜の芽クリニック 西弥生院長先生インタビュー

今回は、この4月に高田馬場駅から徒歩1分というアクセスの良い場所でオープンしたばかりの、桜の芽クリニックをご紹介します。

院長の西 弥生先生は、大学病院やクリニックでお産と生殖医療について20年携わってこられたドクターです。インタビューでは、開業にかけた思いや女性ならでは気遣いが詰まったお話を聞くことができました。

それでは、気になる内容をどうぞご覧ください。

院長の西先生です。

●ドクターになられたきっかけを教えてください。
実は、あまり深く考えたことはないのですが、叔父が小児外科をやっていましたので、その影響で子供の頃から医療が身近なところにあったということがひとつですね。

また私は、女三人姉妹なのですが、父が一人は男性張りに働く子供が欲しかったようで、気づけば医師を志していました。

 

●産婦人科を選ばれたきっかけを教えてください。
医師になる理由よりも、こちらのほうが明確ですね。まずひとつは、赤ちゃんが生まれてくるというおめでたいことに立ち会えるからです。

もうひとつは、私の姉の影響です。
ちょうど診療科を決める頃、姉が子宮筋腫のため病院に通院していました。そこは、近所の大きな都立病院だったのですが、何かにつけて早く結婚して子供を産みなさいと言うばかりでした。まだ、そこまで言われるほどの年齢ではなかったので違和感を感じましたし、これは私が産婦人科になって、姉が子供を産むまで診てあげたいなと感じ、産婦人科を選ぶことにしました。姉には、絶対に子供を産んで欲しいと思っていましたから。

その後、私が勤務先で手術をして筋腫を取り、姉は無事に妊娠することができました。また、姉には子供が2人いるのですが、どちらも私が帝王切開を行って取り出すこともできました。一応、そこで私が産婦人科になったというひとつの目的は達成されたわけですね。

そういった経験を通して、子供をもつということは、それを望む人にとって重要な問題だと感じ、お手伝いできたらなという思いを抱きました。

受付です。

●以前、ご勤務されていらっしゃった杉山産婦人科に携わることになったきっかけについて教えてください。
私は日本医大産婦人科出身なのですが、当時、そこは不妊治療が始まったばかりで独立した部門はありませんでした。そのため、私は周産期に携わり、少しずつ、上司の仕事を手伝いながら生殖医療について勉強をしていました。

しかし、大学の不妊治療の外来というのは、受付時間が限定されているので、患者さんが働きながら通院することは、本当に難しいと感じていました。また、大学では、不妊分野だけに専念することが難しかったので、医師になって10年目のとき、そろそろ不妊治療に特化していきたいと考えていました。

そんなとき、所属している医局でお世話になっていたアルバイト先が、杉山産婦人科であり、私の先輩もそこで勤務していました。そして、たまたま生殖医療の医師をひとり探しているということで声をかけていただいたのが、働くようになったきっかけです。

杉山産婦人科は産科もありますので、私もお産外来を週に1コマ担当していました。また、自分が不妊治療で診ていた患者さんであれば、お産もさせていただきましたので、産科のキャリアもそのまま引き継ぐことができました。

この頃に私自身、結婚や出産を経験したのですが、杉山産婦人科では子育てに理解や協力を得ることができましたので、勤務日数を減らしながら結果的には、10年以上お世話になりました。

 

●開業されたきっかけについて教えてください。
杉山産婦人科では、複数の医師で患者さんを担当し意見交換が出来、大きな施設の良さを感じていました。一方で毎回担当が違ってしまうこともあり、患者さんともう少し近い距離感を持って、じっくり相談に乗れたら良いな・・と思ったのが、開業しようと思ったきっかけです。

 

●高田の馬場という場所を選ばれたのはなぜでしょうか。
随分、いろんなところを見て回ったのですが、私が開業するにあたって一番、重視したことは駅からの近さです。ここは、駅から近いのが魅力ですね。ある程度の大きさの物件を探すとなると、形が良くて居酒屋のような飲食店が入っていないところは案外少ないものです。今は賃料も上がっていますので、現実的な面と地理的なことを考えて、この場所で開業することにしました。

確かに、もう2駅離れると新宿や池袋があり、不妊治療専門のクリニックもたくさん存在しています。そのような中で、注目してもらえるのだろうかという心配はありましたね。

しかし、この街自体もそうですが、西武新宿線の周りにはあまり不妊に特化している病院がありませんので、そういったところの患者さまを診ることができたらいいなという気持ちが一番大きかったですね。

また、新宿や池袋と比べると賃料はいくらか安いでしょうから、その分高額な体外受精の費用を少し低めに設定して、少しでも不妊治療を受けやすくしみなさんに貢献できたらと思っています。

院内は清潔感にあふれています。

●クリニックの名前の由来を教えてください。
由来はふたつあります。
ひとつめは、日本人にとって桜というのは春がきたことの象徴ですし、何か明るい気持ちにさせてくれますよね。とてもおめでたい感じがしますので、桜が咲く日を楽しみにということでこの名前にしました。

もうひとつの理由は、本当に個人的なことなのですが、私の子供の名前を1文字ずつとりました。私には、40歳になってから出産した子供が2人います。私にとって非常に幸運な名前を取らせてもらい、クリニック名にしました。

 

●ホームページ上に、キッズルームや夜間診療についての方針が書かれていますが、これらを特徴と捉えられた背景について教えてください。
もっと完備されたキッズルームがあるクリニックや、夜間も毎日7時、8時まで診療しているところもありますので、中途半端だと思われてしまうのではないかという懸念はありました。

まず、夜間診療に関してですが、やはり、患者さんには仕事を極力休まずに来ていただきたいという気持ちがあります。しかし、いつ来ても私がいますよという体制をとるためには、どうしても週に2回、増やしても3回が限界ですね。

胚培養士の手配の問題で移植は夕方までになっているところが多いと思いますが、当院では胚移植に関しては火曜日と木曜日に、18時まで受付を行っています。平日の月曜から金曜まで勤務するオフィスであれば、土曜日を使った3日間のうちいずれかを選ぶことで、採卵当日以外は、ほぼ休んだり早退遅刻しないで診療ができるのではないでしょうか。私の経験的には、体外受精において一日おきの診療であっても、通うことができれば成り立つと思っています。

取り違え防止については、時代もありますね。ダブルチェックに加え、プラスアルファでバーコードでのチェックを導入しトリプルチェックを行っています。人と人同士の確認が第一だと私は考えているのですが、さらに、人工授精時に精子調整が終わったそのバーコードと、奥様の診察券のIDが一致すればご本人にも安心してもらえるのではないでしょうか。

●先生の中で、大事にされていることがあれば教えてください。
私は、胚培養士は患者さんから卵をお預かりして操作する立場ですので、医師以上の肝だと認識しています。そのため、開業に際しては、とにかく良い胚培養士の方を探したいと思っていました。

現在、当院で主任をしてくれている胚培養士は、老舗の不妊治療クリニックの主任経験者です。最初の立ち上げの設計段階からずっと一緒にやってもらっていますが、このタイミングで出会えたことに感謝しています。

当院はオープンして間もないクリニックですが、培養の技術を保つように日々、機器の管理や培養機の温度管理などもすべて徹底して行っており、確実な技術をもったスタッフが携わっています。

また、採卵については、恐怖心を持っていらっしゃる方が多いと感じています。当院では、極力すぐに帰っていただけるように麻酔は希望した方にだけ行っていますが、気持ちの問題もすごく大きいと思いますので、採卵時は横に必ず一人立って声をかけながら、というアットホームな採卵をしています。

 

●今後のビジョンをお聞かせください。
不妊になってから初めていろいろな検査をすることも、もちろん大事なことだと思っています。しかし、今は子宮内膜症や子宮筋腫がありながら、30代で仕事をしてこれから結婚という方もいます。そういう方たちが結婚や妊娠を考える前段階から、お付き合いできるようなクリニックを目指したいですね。

私の経験からすると、例えば、子宮内膜症などの病気があって婦人科のクリニックへ行ったとしても、不妊に関して専門の知識を持った先生でなければ何となくピルを出して終わるということもあるのではないでしょうか。

そういうとき、不妊ではないけれどもクラミジアや風疹の抗体の検査だけは調べておいても損はないよといったことや、ピルの処方や手術のタイミングなど、不妊治療の経験がある医師のほうが、おそらく的確にアドバイスできると思っています。

いろんな選択肢を残せるように、妊娠する前から定期的にチェックして、最終的に妊娠しなかったらここで不妊治療も始めようというスタイルの病院にしたいですね。予防という言葉が適切ではないかもしれませんが、先々を見据えてどのようなことができるのか一緒に考えていきたいと思っています。

また、あまり学会が推奨していることではありませんが、まだパートナーがいない女性に対して、卵子凍結なども含め、希望を持てるクリニックにしたいですね。確率が低いこと、妊娠中のリスクが年齢と共に上がることを理解したうえでなら、40代での卵子凍結もありだと思います。

培養室です。

 

●最後に、伝えたいメッセージがあればお願いします。
規模が大きければ、不妊以外だと受診しにくいという現実があります。そのため、当院では、どこに行ったらいいのかわからなくて普通の婦人科クリニックを受診しているような方たちにも、的確なアドバイスができるような医療機関になればいいなと考えています。

 

●まとめ
これまで長らく生殖医療に携わっていらっしゃったからこそ、患者さんに寄り添った柔軟な治療をされているのだと感じました。そして、女性としてその前段階から患者さんと長く付き合っていきたいという思いも伝わってくるインタビューとなりました。

大きな病院などで不妊治療を受けると、最後まで一貫して同じドクターに診てもらえるとは限りませんが、こちらのクリニックではいつ来ても西先生に対応していただけるような診療体制を組んでいらっしゃいますし、二人目不妊の方への配慮もされていらっしゃいます。

ご自身もお子さんがいらっしゃるからこその視点や、気遣いがあふれるクリニックだと感じました。

西先生、貴重なお時間を頂き、ありがとうございました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

<関連サイト>
桜の芽クリニック
http://sakuranome.tokyo

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