なぜ、妊娠初期に薬を避けるのか?~催奇形性とは?

妊娠中は健康に気を使っていたとしても、体調を崩してしまったり、何かしらの病気にかかってしまうことがないわけではありません。妊娠中でなくとも、1年近い季節の移り変わりの中では、色々な変化があるものですから。

 

ですが、晴れて待望の子供を授かった時には、市販薬や自宅に保管してある薬など自己判断でを服用することはやめましょう。もちろん、妊娠の可能性がある、または不妊治療中の方も同様です。

 

それはなぜかというと、薬を飲んだ時期や種類によっては胎児が奇形をもつ可能性(これを、催奇形性といいます)があるからです。そうでなくとも奇形は起こる確率がありますが、服薬によって自ら呼び込んでしまうこともあります。

 

今回は、妊娠する前に知って欲しい薬と奇形の関係についてご紹介していこうと思います。

 

●催奇形性について

妊娠中に服用した薬によって、赤ちゃんに奇形が生じる可能性のことをいいます。このようにお話すると心配になるかもしれませんが、風邪などで医療機関を受診し、妊娠していることを伝えた上で処方された薬であれば、用法用量を守って服用する分には殆ど問題ありません。

 

今でこそ、医師や薬剤師だけではなく妊娠中の女性も服薬について敏感になっていますが、そこにはひとつのきっかけがありました。

そのきっかけとなったのが、サリドマイド事件です。

研究のイメージ

●サリドマイド事件とは?

サリドマイドとは薬の名前であり、かつて、睡眠薬や鎮痛剤として使われていました。

西ドイツで開発されたサリドマイドは世界でも広く販売され、その後、日本国内でも使われるようになりましたが、このとき、妊娠中の女性であっても安全な薬という謳い文句で処方されていました。

 

しかし、実際には、サリドマイドを服用した妊婦からは奇形をもつ赤ちゃんが多数生まれるという悲劇が引き起こされたのです。

 

実は、サリドマイドは新しく血管が作られるのを阻害する働きを持ち合わせていました。胎児の初期というのは新しい細胞や臓器を作り出すため、活発に血管がつくられる時期であり、ここが阻害されてしまうと成長自体を阻んでしまうことになります。また、組織が問題なく作られたとしても、成長するためには血管に乗って栄養素や酸素が十分に行き渡る必要があります。サリドマイドは、こういった部分に影響を与えてしまったのです。

 

具体的にみられた奇形として特徴的なものが、アザラシのように手足が短くなってしまうアザラシ肢症です。そのほか、手足だけではなく、耳などの奇形や内臓の配置にも影響を及ぼします。そのため、サリドマイドは全身の器官に影響がある薬だといっても過言ではありません。

 

問題点はこれだけではありませんでした。

欧州では、薬が市場に出回ってから奇形をもつ胎児が多数発生したため、その関連性についての指摘を受けて販売中止となりました。にもかかわらず、日本国内での動きは鈍く、販売及びサリドマイドの回収までには数ヶ月を要しています。また、抑止力として働くべきはずの厚生労働省もなかなか動き出さなかったのです。

 

様々な兆候や警告がありながらも、即時に適切な処置をとらなかった国や製薬企業の責任は非常に重大なものとなりました。

 

●薬を飲む時に、気をつけたほうがいい時期とは?

妊娠中、特に注意が必要な時期というのがあります。

それはちょうど、妊娠4週から7週までの2ヶ月目にあたる時期です。ちなみに、妊娠週数の数え方ですが、最終月経の月経初日を0週0日として計算することに注意しましょう。

2ヶ月目というのは急速に胚が成長し、心臓や手足など、体の重要な器官がつくられる時期です。にも関わらず、成長を阻害するような物質が母親から胎盤を通して胎児へ移行することによって、器官形成に支障をきたしてしまうのです。それ以降、3,4ヶ月目であったとしても、妊娠初期であれば薬の影響を受け、奇形をもつ可能性を否定できません。

 

それより以前、妊娠4週以前に服薬したものは催奇形性には影響を与えないとされており、仮に問題があれば流産という形がとられます。

 

色々と紹介してきましたが、心配だからといって体調に問題があるにも関わらず、薬の服用を自己判断で中止することはやめましょう。決められた用法用量を守り、医師や薬剤師の判断のもと、適切に服用することが大切なポイントです。

 

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