子宮筋腫について~病態と症状について

今回ご紹介する子宮筋腫は、子宮内膜症とともに多くの女性が経験する疾患のひとつです。

良性の腫瘍なので、それ自体が直接命に関わることはありません。しかし、発生場所や大きさによっては様々な症状を引き起こし、不妊の原因にもなり得ます。

いまや、ほんの小さなものも含めると、成人女性の4人に1人は持っているとされる子宮筋腫、決して他人事ではありません。今回は、知っておきたい子宮筋腫の症状や治療について詳しくご紹介していきます。

● 子宮筋腫とは?
子宮は平滑筋という筋肉でできており、これが出産時に収縮や弛緩を繰り返すことで胎児を押し出すといった役割を果たしています。

妊娠出産というプロセスの中でなくてはならない部分ですが、筋層内に良性の腫瘍が発生することがあり、これを子宮筋腫と呼んでいます。

筋腫自体は良性になりますので、周りに存在する細胞を壊すことなく筋腫自体が次第に成長します。中には、大きくなるだけではなく、変性して柔らかくなったり硬くなったりすることもあります。

筋腫の発生箇所にもよりますが、子宮や卵管の変形を招いてしまった場合は、受精や着床自体にも影響を及ぼしてしまうことがあり、これが不妊症を引き起こす背景となってしまうのです。

uterine-fibroids

● 子宮筋腫の原因といわれているエストロゲン
子宮筋腫は、初潮を迎える前には発生せず閉経後は小さくなることから、エストロゲンの影響を深く受けているとされています。

では、エストロゲンが分泌されていれば必ず筋腫があるかといえば、そうではありません。そこにはなんらかの差異が生じているわけですが、その部分についてはまだ明確に解明されていないのが現状です。

● 子宮筋腫の種類とその症状は?
筋腫は、子宮の筋層に存在していた筋腫の芽が、エストロゲンの作用によって次第に成長していくために発生すると考えられています。筋腫ができると、そこに毛細血管が張り巡らされてどんどん大きくなり、エストロゲンが分泌されている限り成長し続けるわけです。

そのため、子宮筋腫は10代や20代の頃よりもエストロゲンの影響を長く受けている、30代以降の女性に多く見られます。

子宮筋腫は発生部位によって、いくつかの種類に分けることができます。

● 子宮筋腫の種類

・ 筋層内筋腫
子宮筋腫の筋層内に発生するタイプで、最も発生頻度が高い種類です。筋腫が単独で発生していることは少なく、大半は多発性で大きくなりやすいのが特徴です。成長に従って子宮内膜が伸展していくので、月経時の出血量が増えるだけでなく、不正出血も起こります。

・ 漿膜下筋腫
子宮は内側から内膜、筋層、漿膜の層に覆われていますが、一番外側にある漿膜下にできる筋腫がこちらのタイプになります。子宮の外側に向かって成長し、大きくなるまで症状が乏しいことが特徴です。

子宮の内側に向かって成長するわけではないので、受精卵が着床する子宮内膜への影響が少なく不妊の原因にはなりにくいとされています。ただし、卵管の近くにできた筋腫が大きくなって卵管を圧迫してしまうことがあり、この場合は卵子や精子の進行を妨げてしまうので不妊につながる可能性があります。

そのほか、発生場所によっては直腸や膀胱を圧迫してしまい、便秘や頻尿も引き起こすことがあります。

・ 粘膜下筋腫
他のタイプと異なり、子宮の内側に向かって成長していきます。発生頻度は最も低いのですが、症状が一番強く現れやすいのが特徴です。

筋腫が内側に向かって成長していくので子宮内膜に影響を及ぼし、出血しやすくなります。また、子宮内膜にも影響を及ぼすので、他の種類よりも妊娠しにくいタイプだといえるでしょう。

稀に、粘膜下筋腫が茎を有して成長し、子宮から飛び出してしまうことがあります。筋腫分娩と呼ばれるこの状態は、膣内に筋腫が出てくるため不正出血以外にも、細菌感染する場合があるので注意が必要です。

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