座薬についての基礎知識

座薬というと多くの方が、子供のころ解熱を目的として使った思い出があるのではないでしょうか。ですが、大人になるにつれ意外と使う場面は少なくなっていくのが座薬。

以前、このサイトでは膣坐薬のルナティスについて取り上げましたが、肛門に挿入するもっとポピュラーなものも含めて今回は、その特徴をご紹介していきます。

●座薬とは?
座薬とは普段、病院でもらう内服薬とは異なり、薬を直接肛門や膣へ挿入する紡錘形の固体の薬です。

使われる基剤には、油脂性と水溶性があります。油脂性であれば、体内に挿入されることで得られる体温によって溶け出す一方、水溶性であれば水に溶けますので、直腸に挿入されたときに得られる水分によって薬剤が溶けていきます。

どのような疾患に対して座薬が用いられているのかというと、ルナティスのように薬の特性によって選択されるほか、高熱や嘔吐などによって内服しにくい場合や、局所的な効果を狙った痔の治療などにも用いられます。

肝臓

●座薬のメリットとは?
なんといっても初回通過効果による肝臓の代謝を受けない、という点が一番大きいでしょう。

通常は内服薬など、体内に投与された薬は小腸で吸収された後、肝臓へと向かいます。肝臓は、有毒物質を無毒化する働きがありますので、体内とは異なる物質を含む薬はここで幾ばくかの解毒、分解を受けます。どのくらい分解されるのかについては、その薬によって異なりますが、代謝を受けやすいものは、その殆どが分解されてしまうこともあります。従って、薬を研究開発する際には、この初回通過効果も考慮しながら作られているのです。

初回通過効果を受けない座薬は、血管の多い直腸や膣から吸収され、肝臓の代謝を受けずに各組織へ運ばれます。そのため、薬の効果がより得られやすいという特徴があります。

●座薬の入れ方
十分に手洗いをしたのち、中腰の姿勢になって紡錘形の薬の尖った方を挿入します。このとき、先に少し水をつけたり、あたためると滑りがよくなります。膣に挿入する場合は、月経中の扱いが異なることもあるので事前に確認しておきましょう。

場合によっては挿入後、すぐに出てきてしまうことがあります。挿入直後ではなく、しばらく経った後であればすでに薬剤が溶け出して吸収している可能性がありますので、その場合は再度挿入をせず、時間をおきましょう。

二種類の座薬が処方された場合は、ひとつめを入れてから30分以上時間をおいてから次を挿入します。こうすることで、それぞれの薬剤の吸収率低下を防ぐことができます。

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