なぜ体外受精や顕微受精の時に黄体ホルモン補充が必要なのか?
今回は黄体ホルモン製剤のルティナスについて書いてまいります。ルティナスについて取材した内容はオールアバウト不妊症に書いておりますので、まずはこちらをチェックして頂ければと思います。
久しぶりに不妊治療の新薬登場!「ルティナス腟錠」
http://allabout.co.jp/gm/gc/451716/
ルティナスの効能・効果は「生殖補助医療における黄体補充」となっています。本日は体外受精や顕微受精の時になぜ黄体ホルモン補充が必要なのかを説明していきたいと思います。
それには体外受精・顕微受精においてどのようなプロセスで進んでいるのかを理解する必要があります。
1. 卵巣刺激
排卵誘発剤を使って複数の卵胞を育てる。
2. 卵子、精子の採集
・妻 : 採卵……超音波で確認しながら卵胞から卵子を取り出す
・夫 : 採精……採卵の当日にご自宅もしくはクリニックの(採精室)にて精子を採集するい
3. 受精・培養・分割
培養容器内で卵子と精子を受精させて培養する(顕微受精の場合はここで受精を人の手を介して行われる事になります)
4. 胚移植
受精卵(胚)を子宮内に戻す (余った胚は凍結保存することも)
5. 妊娠判定:約1カ月後に検査を行います
この2の妻の採卵の部分がポイントです、排卵誘発で卵巣の中で育ってきた卵胞の中に卵胞液があり、卵子はその中に存在しています。
卵胞に細い針を刺して、数mlの卵胞液を吸引することによって、卵子を卵胞液とともに採集します。吸引された卵子はシャーレに移して顕微鏡で確認後、培養液の中に移します。
実はこの採卵の時に一緒に卵胞の中の顆粒膜細胞を吸引してしまうのです。その細胞は卵胞が排卵後、黄体になる役割を持っており、採卵することにより黄体がうまく形成できないことに結びつきます。
黄体の働きは以前のこのサイトでご紹介しましたが、妊娠維持にとても重要な役割を果たしているので、黄体機能(黄体ホルモン分泌)がうまく働かないことは妊娠にネガティブに働くことになります。
よって、体外受精や顕微受精においては黄体ホルモンを外から補充してあげることにより、妊娠維持に役立つということです。
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2015年 4月 13日トラックバック:黄体についての基礎知識(1)~黄体機能不全とは?
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