黄体についての基礎知識(2)~月経周期の中での黄体の変化
今回は、月経周期の中での黄体の変化について解説してまいります。
中でも特に、排卵後に黄体へと変わる“顆粒膜細胞と莢膜細胞”に関わる現象に焦点を当てていきます。
顆粒膜細胞とは卵細胞の周りを取り囲んでいる細胞であり、さらにその外側に位置するのが莢膜細胞です。
それぞれ持ち合せている受容体(レセプター)が異なり、顆粒膜細胞はFSH、莢膜細胞はLHのみということも特徴のひとつです。
では、月経周期(卵胞期、排卵期、黄体期)ごとの変化をみていきます。
<卵胞期>
〜卵胞期前半〜
1.下垂体から分泌されるFSHが徐々に増加し、卵胞の成長が促されます。
2.顆粒膜細胞からのエストラジオール分泌も増えていき、子宮膜細胞の増殖も促されます。
〜卵胞期後半〜
卵胞の大きさが18-20mmほどに成長するとエストラジオールの影響により、FSHの分泌が抑制されます。
<排卵期>
1.卵胞が成長したところでエストラジオールの分泌はピークに達し、プロゲステロン分泌も徐々に増加していきます。
2.大量に分泌されたエストラジオールはLH分泌を惹起します。さらにGnRH及びプロゲステロンの刺激も合わさってLHサージが起こり、排卵に至ります。
<黄体期>
1.血中エストロゲンが上昇し、24時間以上継続する事で、LHサージが起こり、排卵が誘発されます。
2.排卵後は顆粒膜細胞や莢膜細胞を含む卵胞が黄体に変化し、プロゲステロンが分泌されます。
3.分泌されたプロゲステロンは、胚の着床に必要な分泌期子宮内膜の発達を促し体温を上昇させます。
黄体期は平均14日であり、その後に妊娠しなければ黄体は退縮します。
<妊娠初期>
1.着床した絨毛細胞からはhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が分泌され、黄体の持続及びエストラジオール分泌の増加させる働きをします。
hCGは黄体を持続させることで、子宮内膜が剥がれて月経が引き起こされないような役割を担っています。
2.妊娠12週頃には、胎盤から十分な量のエストラジオール及びプロゲステロンが分泌されることになります。
この状態になると、hCGによらず妊娠を継続することができるようになります。
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