不妊治療とAMH検査
近年、不妊治療をされている方にとって、よく耳にするワードの中の一つにAMHがありますね。アンチミュラリアンホルモンとも言われるAMHは、不妊治療の中で一体、どのような役割を果たしているのでしょうか。
●AMHとは?
AMHは、卵巣内にある卵胞が成熟していくときに分泌されるホルモンです。
卵巣内には、女性の胎児期に作られた数多くの原始卵胞が存在しています。その数は600万個、700万個とも言われていますが、それらが全て排卵するわけではありません。月経がはじまる思春期には30万個〜40万個ほどにまで減っていますし、排卵されずに消えていくものも多く、日を追うごとに現象の一途を辿ります。
ですが、年齢を重ねるにつれて確実に卵子は減っていきますので、AMHを調べることで、卵巣予備能、つまり原始卵胞がどのくらい卵巣に残っているのかを知ることができるのです。
●AMHが注目されている理由とは?
卵巣予備能を知るマーカーは他にもありますが、AMHが重宝されているのには理由があります。
それは、まず月経周期による影響を受けにくいという特徴があるからです。
また、血液検査で測ることができるので、測定者によってバラつくことがないというのも大きな利点であり、広く普及しているのはこのためです。
一方、測定誤差が大きいということも指摘されていますが、これについては改善されつつあります。
●AMH値からわかること
AMHを測定する意味はわかりましたが、実際に測ってみるとどのようなことがわかるのでしょうか。
そもそも、AMH値は個人差が大きいので、一概に基準値のようなものを決めることは難しいものです。20代や30代前半だからといってAMH値が高いとは限りませんし、40代であっても低いとは言えません。
また、AMH値は妊孕性を示すものではないということも念頭に置いておくべきです。
もし、あなたがAMH値を測定した結果、ゼロに近かったからといって妊娠できないのではないか、と悲観的になる必要はありません。値が低かったとしても妊娠する方はいらっしゃいます。大切なことは、あとどのくらい治療に費やすことができる時間があるのかを知り、機会を逃さないということです。
では、AMH値は高いほうがいいのかというと、そうでもありません。
発育過程にある卵胞が多すぎると多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を引き起こしてしまうこともあり、これも不妊の原因となってしまうので注意が必要です。
不妊治療にとって重要な指標となるAMHですが、大切なことは結果だけに振り回されるのではなく、受け入れた上でこれからの治療について医師とよく話し合うことです。治療できる期間は無限ではありません。これを読んでいる方々には、それを踏まえ上で、ご自身が納得ができる不妊治療生活を送って欲しいと思っています。
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