腸内フローラと女性の健康について
みなさんは腸内フローラをご存知でしょうか？
最近ではメディアなどで取り上げられる機会も増えてきたので、すでに意識しているという方もいらっしゃいますよね。
一度、バランスが崩れてしまうと体だけではなく、心の不調まで引き起こしてしまう腸内フローラは、不妊とも無関係ではありません。
今回は、そんな腸内フローラに焦点を当てていきたいと思います。
●腸内フローラとは？
私たちの腸内には多様な細菌が住み着いており、その数は100兆個にも及びます。数え切れないほど多くの細菌は、腸内でバラバラに存在しているわけではありません。何百という種類の細菌がそれぞれグループごとにまとまっているのです。
びっしりと腸内に細菌が存在している様子は、まるで花畑のようであることから、これを腸内フローラと呼ぶようになりました。
細菌というとあまり好ましくないイメージを抱く方もいらっしゃるかもしれません。確かに、私たちにとって良くない働きをするウェルシュ菌や大腸菌といった悪玉菌もいますが、中にはそれらの活動をおさえたり、逆に良い効果をもたらしてくれる善玉菌も同時に存在しているのです。よく耳にする、ビフィズス菌や乳酸桿菌は善玉菌の代表格になります。
このほか、日和見菌と呼ばれ、そのときの腸内における善玉菌と悪玉菌のバランスによって働き方を変化させる細菌も存在しています。
腸内フローラに存在する細菌や数など、その状態は誰一人として全く同じものはありません。考えてみれば、それぞれ食生活やライフスタイルなどが異なりますので、当然のことなのかもしれないですね。
さて、個人によって異なる腸内フローラですが、ひとたび均衡が崩れて悪玉菌が優勢になってしまうと、日和見菌も応戦して腸内で腐敗が進んでしまい、体にとって有害な物質が発生してしまいます。
そして、結果的に免疫力の低下やアレルギー疾患、生活習慣病など数々の病を引き寄せてしまうのです。
●善玉菌との共生関係がもたらすもの
悪玉菌の働きをおさえるためには、善玉菌が住みやすい環境づくりをしなければなりません。
そもそも、私たちは細菌に対して腸内という住処を提供しているほか、毎日の食生活を通じて、知らずのうちに食も与えています。その代わりといってはなんですが、善玉菌は素晴らしい効果をもたらしてくれているのです。
例えば、悪玉菌の働きを抑制することはもちろんのこと、産生してしまった有害物質が体内へ取り込まれることを防ぐ役割を担っています。
また、善玉菌は乳酸や酪酸といった有機酸をつくることで腸内を酸性に保ってくれます。悪玉菌はアルカリ性を好み、酸性を嫌う性質がありますのでその増殖をおさえることができるのです。
さらに、腸の蠕動運動も活発化させますので、有害物質を含む便をスムーズに体外へ排出することができます。
このように、有益な働きをしてくれる善玉菌と私たちは、持ちつ持たれつの友好関係を結んでいるかのように共生しています。
●不妊にも影響を及ぼす腸内フローラ
腸内環境が免疫に関与していることは先にお話した通りで、バランスの崩れは体の各器官の働きに支障をきたし、場合によっては妊娠にも悪影響を及ぼすことがあります。
考えられる悪影響のひとつに、精子や胚に対する攻撃があげられます。
精子や胚は害ではありませんが、これまでは体内に存在していなかったものです。免疫反応の異常によって、これらを排除しようとする動きが起こる可能性があるのです。
また、腸内に腐敗物質が蓄積しているなど悪玉菌が優勢の状態であれば、せっかく食べた栄養素の吸収もはかどりません。特に、ビタミンやミネラルなど妊娠時には摂っておきたい栄養素がたくさんありますので、それらを上手く吸収できなければ発育に問題が生じてしまう可能性も否定できないのです。
●良い腸内環境を保つためには？
では、一体どのような食生活やライフスタイルが良い腸内環境を育てるのでしょうか。
まず食生活ですが、日常的に食物繊維や発酵食品を積極的に摂るようにしましょう。例えば、納豆や漬物、ヨーグルトや海藻類、食物繊維を豊富に含む野菜は効果的です。また、肉よりも魚中心の食事が理想的ですね。
和食はこれらの食材をバランス良く取り入れているので、食生活の基本としたいところです。
さらに、運動不足や過度なストレスも腸内フローラに影響を及ぼします。
現代社会でこれらを全て解消することは難しいかもしれませんが、少しでも理想とするライフスタイルへ近づけられるようにすることで良い腸内環境を育むことができるでしょう。
関連記事
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。