薬の主作用と副作用。そして時々、副効用。
薬を使って治療を行う時、そこには標的とする病気や煩わしい症状を改善させたいとの想いがあるはずです。
しかし、薬は単一の元素から成り立つわけではなく、様々な工程を経て作られた化合物です。その化合物がただ一つの効果だけもたらすとは考えにくく、私たちが望む効果もあれば、避けたい効果も含んでいると考えるのが妥当です。
良いか悪いか−、その判断基準はあくまで私たちの都合であり、立場が変わればその評価も変わるかもしれません。とはいえ、日々を健康に過ごしたいと願う私たちであれば、共通の期待する効果があることは明確です。
今回は、そのような薬に求める効果や、一転して望まざる効果、そして物怪の幸いともいうべき薬の思わぬ効果についてお話ししていこうと思います。
薬に対して期待する効果、つまり病気を治す元来の働きを主作用と呼びます。例えば、不妊治療でよく使われるピルは排卵を抑制する働きをもつため、本来は避妊を目的として処方される薬です。この場合、ピルの主作用は避妊であると言えます。
ところが、ピルを服用し始めると思わぬ作用に出会うことがあります。それが望む効果ではなく、むしろ起こってほしくない、不必要な効果であるとするならば、副作用という呼ばれ方へと変化します。
副作用は多かれ少なかれ、殆どの薬でみられます。その症状は様々で、眠気や下痢など比較的症状の軽いものもあれば、時にはアレルギーや肝機能障害などを引きおこします。また、場合によっては急な呼吸困難を伴うショック症状に至ることもあるのです。
先ほど例に取ったピルであれば、吐き気や不正出血、むくみなどがよく知られている副作用です。これらの副作用は、飲み始めてから2,3ヶ月で収まる場合が大半です。ですが、中には重篤な状態を招くケースもありますので、何か不調を感じたら一旦、服用を中止して医師や薬剤師に相談してください。
このような私たちが望まない副作用は、どうして起こってしまうのでしょうか。それにはいくつかの理由があります。
まずひとつめに考えられるのは、個人の体質やその日の体調が薬の効果を増強させてしまう事例です。
また、薬の併用が原因となることもあります。単剤では問題なくとも、何種類か併用することで相乗効果が生まれ、より強い働きをすることがあります。従って、処方された薬以外に服用している薬があれば、事前に申告しておくことが重要です。お薬手帳を持ち歩くことも良い方法ですね。
そして、薬に含まれる添加物も影響を及ぼすことがあります。あまり知られていませんが、薬には有効成分だけではなく成型する際に必要不可欠な添加物なども含まれています。これらにアレルギー反応を起こす場合もありますので、アレルギー体質の人は特に注意が必要です。
これまで、薬には主作用と副作用が存在することはお話ししましたが、主作用以外の良い作用が現れることがあります。これを副効用といいます。
副効用は、薬本来が目的とする働きではありませんが、私たちにとって良い効果をもたらします。副効用がよく知られているのが、先に紹介したピルであり、実はこれを目的として処方される場合も多いのです。
<ピルの副効用>
・ 月経周期が規則正しくなる
・ 月経痛やPMSが軽減される
・ 肌荒れやニキビ、多毛が改善される
・ 子宮がんや子宮体がん、卵巣がんの予防などに役立つ
・ 子宮内膜症が改善される
・ 生理日をコントロールすることができる
他にも、ピルには副効用がいくつかありますが、どれをとっても女性にとって日常生活の煩わしい部分を改善させてくれるものばかりです。
そして最近では、ED治療薬についても副効用があることがわかってきました。タダラフィルというED治療薬は、平滑筋を緩めることで血流をよくし、勃起障害を改善させるとして使われている薬です。そして、それだけにとどまらず、同じく血管を拡張させることで肺動脈性肺高血圧症に、尿道の筋肉を弛緩させることで前立腺肥大症にと、効果が認められて処方されているのです。
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