妊娠力向上委員会

• 2015.3.19
• 不妊治療薬剤, 体外受精・顕微受精, 薬の作用について, 薬の副作用, 薬の知識
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不妊治療にも子宮内膜症治療にも使われるGnRHアゴニストってどんな薬なの？

＜GnRHアゴニスト＞
GnRH（ゴナドトロピン放出因子）とは脳の視床下部から出ているホルモンのことで、卵巣を刺激するホルモンを出させる役割を担っており、性腺刺激ホルモン放出ホルモンと呼ばれています。そのホルモンと同じ作用をするものがGnRHアゴニストになりますが、本来のGnRHよりも作用が強いものになります。

 

卵胞は、成熟してエストロゲンが増えることで脳の下垂体からLHが大量に分泌されるLHサージという現象により排卵を起こします。
不妊治療においては、成熟した良質の卵子を得る必要があり、GnRHアゴニストはそのタイミングをコントロールするために用いられます。

＜どのような働きをするのか？＞
この薬剤を使うと、一時的に卵巣からのホルモンは増加しますが、それに伴い増加したホルモンを制御する反応が起こり、下垂体の機能が抑えられ、逆に性腺刺激ホルモンの分泌が低下します。
そして、結果的に卵巣への刺激が抑えられてエストロゲン量が低下し、排卵を抑えたり、閉経と似た状態を作り出すことで、女性ホルモンにより進行する内膜症病巣の進行が抑えられるという仕組みになります。

GnRHアゴニストはエストロゲンの分泌を抑え、閉経と似た状態を作りだすことになるので、更年期と同じような症状が出ることがあります。長く投与することでエストロゲンが低い状態が続き、骨量の低下や鬱症状も懸念されるので、長期投与では注意が必要です。
GnRHアゴニストには、大きく分けて“点鼻薬”と“注射薬”があります。

点鼻薬は効果が注射薬に比べて若干弱い傾向がありますが、副作用が出た場合いつでも投与を中止することができます。しかし、注射薬は1回の投与で約1ヶ月ほど効果が持続するので、副作用が出た場合でも効果を止めることができません。その反面、点鼻薬を使う場合には花粉症やアレルギー性鼻炎の方では使用が難しい場合もあります。

●効能効果
子宮内膜症
子宮筋腫の縮小及び子宮筋腫に基づく下記諸症状の改善
過多月経、下腹痛、腰痛、貧血

 

●禁忌
1.診断のつかない異常性器出血のある患者［異常性器出血の原因疾患を悪化させるおそれがある。］
2.妊婦又は妊娠している可能性のある患者［「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照］
3.授乳期の患者［「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照］
4.本剤の成分又は他のGn-RH誘導体に対して過敏症の既往歴のある患者
●副作用
先にも述べた通り一時的にエストロゲンが増加し、病気を進行させることがありますが、その後は分泌が止まりますので進行も抑えられます。

報告されている副作用は次の通りです。
・ ほてり、のぼせ
・ 肩こり
・ 頭痛
・ 疲労感、倦怠感
・ 嘔吐、食欲不振

＜詳細情報リンク（添付文書等の詳細はPMDA情報・企業情報）＞
スプレキュア点鼻液0.15%
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2499701R1052_1_07/

ナサニール点鼻液0.2%
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2499702Q1043_2_01/

スプレキュアMP皮下注用1.8
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2499405G1039_1_06/

リュープリン注射用1.88／リュープリン注射用3.75／リュープリン注射用キット1.88／リュープリン注射用キット3.75
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2499407D1023_1_22/

ゾラデックス1.8mgデポ
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2499406G2021_1_11/