不妊治療とホルモン(3)~LHってどんなホルモン?

以前ご紹介したFSH(卵胞刺激ホルモン)と共に下垂体前葉から分泌されるホルモンについて、今回は取り上げたいと思います。

その名も黄体形成ホルモン(:Lutenizing hormone,LH)は、FSH同様に不妊治療に深く関わっているホルモンのようですが・・・。

●LHとは?
LHはFSHと同様に、下垂体にて合成・分泌されるホルモンです。
どのような働きをしているのかというと、「FSHが成熟させた卵胞の排卵を促進させたり、排卵した卵胞の黄体化に寄与する」といった役割を果たしています。

LHサージというLHが急激に分泌されることにより、卵巣の排卵が起こります。

LHサージというLHが急激に分泌されることにより、卵巣の排卵が起こります。

 

また、LHが黄体に働きかけることでプロゲステロンが分泌され、子宮内膜を肥厚させたりするなど妊娠継続にも必要不可欠なホルモンです。

男性においては、精巣にある間質細胞に働きかけることによって男性ホルモンの合成を促進させます。

正常値は下記の通りです。
女性の場合は月経周期等によって基準値が変化します。

<基準値>
卵胞期 1.76〜10.24
排卵期 2.19〜88.33
黄体期 1.13〜14.22
閉経期 5.72〜64.31
*単位はmlU/mL

検査値が高い場合、下記の疾患が疑われます。
排卵障害(月経不順) 卵巣性無月経 (早発)閉経

検査値が低い場合、下記の疾患が疑われます。
排卵障害(月経不順) 下垂体機能低下症

<男性>
0.79〜5.72
*単位はmlU/mL

検査値が高い場合、下記の疾患が疑われます。
高ゴナドトロピン性性腺機能低下症(原発性性腺機能低下症)
クラインフェルター症候群
非閉塞性無精子症(NOA)

検査値が低い場合、下記の疾患が疑われます。
低ゴナドトロピン性性腺機能低下症(MHH)

●不妊治療薬としてのLH(黄体形成ホルモン)
排卵誘発や卵胞発育を目的としてLHを補充する場合には、同時にFSHも含む注射剤、hMG製剤が使われます。また、LHではありませんが、それと同様の作用をもつ、妊婦尿由来のHCG製剤の注射剤も販売されています。こちらは、エストロゲンやプロゲステロンの分泌を促すことで成熟した卵胞を排卵させたり、黄体ホルモンの補充を期待して用いられます。

アメリカでは遺伝子組み換え型のLH製剤がすでに発売になっています。

アメリカでは遺伝子組み換え型のLH製剤がすでに発売になっています。

 

hMG製剤及びHCG製剤の詳細は以前、こちらのサイトで紹介をいたしました。

hMG製剤
https://infertilitymed.com/ゴナドトロピン製剤:hmg製剤ってどんなお薬なの/
HCG製剤
https://infertilitymed.com/hcg製剤ってどんなお薬なの?/

この2つに属する薬剤は全く別のシーンで使われるわけではなく、hMG-HCG療法のように、hMG製剤で卵胞を成熟させた後にHCG製剤にて排卵へとつなげるというように一連の流れで使われることもあります。

不妊治療はある決まった治療法を当てはめれば妊娠できるというものではありません。先生方は、毎回の個々人の状態を見極めながらオーダーメードで治療を進めていっているのです。

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