黄体についての基礎知識(4)~排卵誘発法ごとの黄体機能の維持に有効な方法
今回は排卵誘発法ごとに、“黄体機能の維持に有効な方法”について解説してまいります。
<クロミフェンを用いた場合>
● 治療の概要
クロミフェンは無排卵治療薬としてスタンダードな薬剤であり、多くのクリニックで用いられています。
クロフミェンはその化学構造の特性により、抗エストロゲン作用を有します。
抗エストロゲン作用が視床下部に働きかけて排卵を促す反面、子宮内膜の細胞に萎縮をもたらしてしまうので、子宮内膜が薄くなるという側面も持ち合せています。
◆ 黄体機能維持に有効な方法
クロミフェンの抗エストロゲン作用を改善させるため、卵胞ホルモン(エストロゲン)の成分を含むプレマリンやエストラーナを用います。
<GnRHアゴニスト法・GnRHアンタゴニスト法>
* GnRHアゴニスト法
● 治療の概要
脳の視床下部から出るGnRH(ゴナドトロピン放出因子)が卵巣を刺激します。この刺激によって性腺刺激ホルモンは一時的に増加しますが、増加に伴ってホルモン分泌を制御することになります。
そして、結果的に性腺刺激ホルモン量は低下し、卵巣への刺激が抑えられることで排卵抑制の効果があります。この仕組みを生かして、排卵をコントロールするために用いられる薬剤がGnRHアゴニストになります。
* GnRHアンタゴニスト法
● 治療の概要
GnRHアゴニストと同じく排卵を抑える薬剤になります。しかしその作用は異なり、脳の下垂体に存在するGnRH受容体への結合を阻害することによってGnRHの分泌を抑制します。
◆ 黄体機能維持に有効な方法
〜内膜成熟が促進されている場合〜
過排卵を避けるために、hMG(下垂体性ゴナドトロピン)製剤の投与量を減らすなどエストロゲンの血中濃度を下げます。
〜子宮内膜成熟が遅れている場合〜
GnRHアゴニスト及びアンタゴニストの使用はできるだけ避け、プロゲステロン補充などにより黄体機能を維持させます。
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