不妊治療とホルモン(2)〜プロラクチンって?
不妊治療と切っても切れない関係のホルモン。
そんな深い関係のホルモンを紹介していくこのシリーズの二回目は「プロラクチン」です。
プロラクチンが果たしてどのような働きをし、不妊治療とどういった関わりをもっているのか、今回はそちらに焦点を当てて見ていきましょう。
●プロラクチンとは?
プロラクチンとは、脳の下垂体から分泌されるホルモンであり、主に妊娠出産時に分泌されます。特に産後はプロラクチンの分泌が増える代わりに、女性ホルモンであるエストロゲン、プロゲステロンの分泌は抑えられているのです。
また、その働きは乳腺を発達させて母乳を分泌させたり、産後の子宮収縮の促進が主となっていますが、特に産後は、赤ちゃんが乳首に吸い付くことで乳腺が刺激されてプロラクチンが増え、さらに母乳が分泌されるといったサイクル効果も生んでいます。
さらに、出産後の体力回復のために無月経を起こし、産後すぐの妊娠を回避させることにも貢献していることが特徴的です。
そして実はこのプロラクチン、女性だけに関わりのあるホルモンではありません。プロラクチンの分泌は男性に対して、精嚢腺や前立腺などの性機能の発達促進に役立っています。
正常値は15ng/ml以下とされ、妊娠時には上昇することがわかっています。また、血液検査時には正常値であっても排卵障害やストレス時にプロラクチンが高くなる潜在性高プロラクチン血症が疑われる場合には、負荷試験を行う場合があります。
検査値が高い場合、下記の疾患が疑われます。
・ 甲状腺の機能低下
・ 視床下部や脳下垂体障害
・ 排卵障害
・ プロラクチン産生腫瘍(プロラクチノーマ)
・ 乳がん
・ 末端肥大症
・ 勃起不全
検査値が低い場合、下記の疾患が疑われます。
・ 脳下垂体腫瘍
・ 甲状腺機能亢進症
・ シーハン症候群
● 不妊症を招く高プロラクチン血症
血中のプロラクチン濃度が15ng/mlを超える場合、その病態を高プロラクチン血症と呼んでいます。
通常、プロラクチンは非妊娠時にあまり分泌されないホルモンであり、無月経を引き起こす要因になります。
従って、血中濃度が高ければ必然的に無月経になってしまう可能性が高く、妊娠が難しくなってしまいます。
これが、高プロラクチン血症が不妊症の原因となってしまう所以です。
高プロラクチン血症となってしまう原因は様々で、代表的なものは脳下垂体にできた腫瘍によってプロラクチンの分泌が促進されてしまう、プロラクチン産生腫瘍です。
このように器質的なものだけではなく、精神疾患やピルなどの薬剤の服用やストレスによるホルモンバランスの崩れも大きな要因となります。
ですが、残念ながら原因不明の事例も多いのが実情です。
● 高プロラクチン血症の治療法とは?
プロラクチン産生腫瘍の場合は、腫瘍を除去する手術が行われます。
また、薬の作用によるホルモンバランスの乱れからきているのであれば、薬の服用を抑えたり、他の種類へ変更したりすることでプロラクチンの分泌量の減少へと導きます。
しかし、このように原因が明確化されているものばかりではありません。プロラクチン血症の中には原因不明とされている場合も少なくないのです。そういったときにはプロラクチンの分泌量を抑制する薬剤を服用することになります。
関連リンクはコチラ↓
不妊原因でもある高プロラクチン血症と治療薬について
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。