塗り薬の基礎知識
皮膚や粘膜に直接塗ることで薬の効能効果を期待する塗り薬は、わたしたちにとって身近な存在で広く用いられており、その種類もゲル剤、クリーム剤、軟膏といくつかの剤型が販売されています。
塗り薬の場合は、含まれている成分が経皮吸収されることになるのですが、皮膚は外部からの刺激から守ると同時に、体内に含まれる水分や体液が外に出ることを防ぐ役割を担っています。そのため、薬の成分も全てが皮膚を通して吸収されるわけではありません。塗り薬の種類や使用する方の年齢、各部位における皮膚の厚さなどによって、その透過性も変わってきます。
塗り薬は局所的な効果を狙って、直接患部に塗ることができることも特徴のひとつです。その一方で、エストロゲン製剤のル・エストロジェルのように全身的な作用を狙ったものもあります。この場合は、胃腸障害や肝臓への負担が少ないというメリットがあります。
●剤型の違いによる特徴
・軟膏
油脂性の基剤で、刺激が少なく皮膚の保護作用が強いため、じゅくじゅくしている皮膚の状態から乾燥している状態まで、幅広く使えることが特徴です。
その反面、べとついたり洗い落としにくいなど、使いにくい面も持ち合わせています。
・クリーム剤
水と油脂を混ぜて作った乳剤性の基剤なので、軟膏と比べるとべとつきが少なく、のびが良いなど使いやすいのが特徴です。皮膚への透過性も他の剤型より高く、足の裏など厚くなった皮膚でも効果を発揮します。
軟膏よりもべとつかないので、夏場の使用感を考慮して同じ成分の軟膏から切り替えることもあります。ですが、汗や水で流されることも多い剤型です。
刺激性があるので、傷口に塗ると痛みを伴うことがあります。
・ゲル剤
水性の基剤で、塗った時に冷たさを感じることがあります。そのため、さっぱりとした使い心地ですが、他の剤型と比べると皮膚への透過性は低くなってしまいます。
また、刺激性もあるため、湿潤した患部には適していません。
頭部などの塗りにくい部位に多用されます。
●塗り薬の使い方
入浴後など、清潔な状態で使います。
特に、軟膏はべとついてきれいに洗い流せていないことがありますので、前回塗った薬が残っている場合は、しっかりと落としてから塗りましょう。
また、冬場など気温が下がると、軟膏やクリーム剤が硬くなっていることがあります。そのような場合は、無理に塗るのではなく、少し手で温めると塗りやすく効果的です。
塗り薬は製剤によって、塗布といって薄く塗り広げる方法と、やさしく擦り込む塗擦という方法があります。多くの場合、ステロイドであれば塗布、深部に浸透させたい保湿剤や消炎鎮痛剤などは塗擦が用いられますが、実際に処方された薬の使用方法については、事前に薬局で確認しておきましょう。
薬には副作用もつきものであり、塗り薬も例外ではありません。中には、薬の成分だけではなく、使われている添加物によるものもありますので注意が必要です。
塗ったあとに、かぶれやアレルギー症状、その他いつもと違った様子がみられる場合は必ず医師の診察を受けるようにしましょう。
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