OHSSとPCOSやHMG-HCG療法との関係について
不妊治療を始めて様々な薬を使うようになると、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)という言葉を耳にするようになります。中には、実際にOHSSになってしまった方もいるかもしれませんね。
副作用としてよく聞くOHSSとPCO、そしてHMG-HCG療法との関係について今回はご紹介していきます。
以前ご紹介した、薬の副作用シリーズ:OHSS(卵巣過剰刺激症候群)と一緒にお読みください。
●OHSSってなに?
卵巣が過剰に刺激されることによって腫れてしまい、腹痛や尿量の減少、体重増加などの症状を呈することをOHSSといいます。場合によっては、腹水や胸水がたまり入院管理が必要なこともあります。
●HMG-HCG療養との関係は?
OHSSは特に、HMG-HCG療法でよくみられる副作用のひとつです。
HMG-HCG療法とは、まず、HMG製剤を注射して卵巣を刺激し、卵胞を成熟させます。そして、適切な大きさになった時点でHCG製剤を投与し、排卵を促すという治療法です。
この治療法では、一気に卵胞を育て上げることができる反面、過剰な刺激で卵巣が腫れて卵巣が腫大し、卵巣表面の血管から水分が漏れ出ることに起因して、様々な症状を引き起こしてしまいます。
では、HMG-HCG療法であれば皆、OHSSになるのかというとそうではありません。その発症は個人の体質や年齢などにも大きく左右されます。
さらに、OHSSはPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の場合は、さらに高い割合で起こるという傾向も持ち合わせています。
●PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)とは?
通常の排卵では、卵巣内に存在する多数の卵胞の中から、毎月ひとつずつ成長して成熟した後、排卵に至ります。
しかし、PCOSになると月経やホルモン値の異常に加えて、超音波検査下では卵巣に小さな卵胞が数多くみられるようになります。このとき、卵巣の表面がかたくなってしまうので排卵することができず、結果的に多数の卵胞を抱えてしまうことになるのです。
そのため、クロミッドやHMG-HCG療法によって排卵を促すのですが、そうなると卵巣に対して大きな刺激が加わり、OHSS発症の引き金をひくきっかけになります。特にHCG投与によりOHSSになってしまうので、発症リスクが高い場合はHCG投与をあきらめることもあります。それは医師の判断で決定されます。
確かにOHSSは、PCOSやHMG-HCG療法と関連しているケースが多いのですが、他の排卵誘発剤を用いた場合に発症しないかといえば、必ずしもそうではありません。
OHSSは以前に比べてかなり減ってきた副作用です。なぜなら、OHSSになりそうな症例の場合はHCGによる排卵誘発をキャンセルすることが多いからです。しかしながら、大丈夫と判断されても起きるケースがあるので薬を投与した後はいつも以上に身体の変化に注目し、何かおかしいと感じることがあれば、出来るだけ早く医師の診察を受けるようにしましょう。
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