クロミフェンってどんなお薬なの?
クロミフェンは、無排卵治療薬として最初に使われるお薬であり、最も良く用いられています。不妊専門クリニックで使われるのはもちろんですが、不妊を専門としていない産婦人科や婦人科でも使われるので目にすることが多い薬です。
<一般名(成分名)>
クロミフェン クエン酸塩
以下の情報は厚生労働省管轄 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 から引用させて頂いた情報を中心に掲載してまいります。
<製品名>
同じ成分でも複数の会社から違う製品名で発売されています。
<作用は?>
クロミフェンはその化学構造の特性により、作用する部位によってエストロゲン作用と、抗エストロゲン作用の両方を持ち合わせ、次のようなステップで排卵を起こします。
脳に働きかけて、性腺刺激ホルモン放出ホルモンの分泌促進
↓
性腺刺激ホルモン(卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモン)の分泌増加
↓
卵胞刺激ホルモンにより卵胞が成熟し、黄体形成ホルモンにより排卵がうながされる
<効能効果>
排卵障害に基づく不妊症の排卵誘発
<用法用量>
無排卵症の患者に対して本剤により排卵誘発を試みる場合には、まず Gestagen、Estrogen test を必ず行って、消退性出血の出現を確認し、子宮性無月経を除外した後、経口投与を開始する。
通常、第1クール1日クロミフェンクエン酸塩として 50mg 5日間で開始し、第1クールで無効の場合は 1日100mg 5日間に増量する。用量・期間は1日100mg 5 日間を限度とする。
用法用量は医師の処方により変わる場合もあるので、上記の使い方だけではない。
<使用上の注意>
以下の方は医師に必ず伝えて頂き、確認をしてください。
- 以前に薬を使用して、かゆみ、発疹などのアレルギーが出たことがある。
- 乳癌、子宮内膜癌およびその疑い、卵巣腫瘍および多嚢胞性卵巣症候群を原因としない卵巣の腫大がある
- 肝障害または肝疾患がある。
- 妊娠または授乳中
- 他の疾患があり、薬やサプリメントなどを使っている(お互いに作用を強めたり、弱めたりする可能性もあります)
<副作用>
クロミフェンは40年以上にわたって使われている薬であり、その副作用は非常に少ないのが特徴的です。先生方も使い慣れている薬剤と言えます。
副作用のメカニズムは、エストロゲンをブロックする作用からエストロゲンが作用しているものを阻害してしまいます。例を挙げると、頚管粘液が粘稠になって精子が頚管を通りにくくなること、腟が乾燥すること、子宮内膜が薄くなる(そのため月経の量が減る)ことなどです。
のぼせる、お腹が張る、発疹、めまい、欝状態、乳房の違和感、視覚症状(物がかすんで見える)などもあります。また、クロミフェンで妊娠した場合、約5%が多胎(双胎・品胎)になります。
クロミフェンの6ヶ月以上投与については、前述の抗エストロゲン作用で妊娠にあまりよい影響を与えないケースが出てきます。漫然と継続投与をされている場合はきちんとドクターと話し合う必要があります。場合によっては継続した方が良いケースもあるので、長期に使う場合はきちんと質問し、話を聞くことが必要。
また、まれにですが、卵巣が腫れてくること(卵巣過剰刺激症候群 OHSS)があります。もし、下腹部に張りや痛みを感じたら、すぐ医師に連絡してください。
<薬の歴史>
クロミッド錠(1968年3月発売):塩野義製薬から発売されていたが2013年12月1日付で富士製薬工業に製造販売承認の承継及び販売移管がなされた。
セロフェン錠(50mg)(2008年2月発売)
以上
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