ゴナドトロピン製剤:FSH製剤(排卵誘発注射剤)ってどんなお薬なの?
<どんなお薬なのか?>
下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH, Follicle-stimulating Hormone)と黄体化ホルモン(LH, Luteinizing Hormone)のことをゴナドトロピンいいます。これらのホルモンにより卵子が育ち、排卵後に黄体が形成されます。
この人のホルモンを尿から抽出したものがhMG製剤です。hMGは尿由来のFSHとLHが混在した製剤になります。日本で初めてhMG製剤が発売されて、すでに46年が経過しているので、先生方としてはよく知っている薬と言えます。FSH製剤は卵胞発育に関わるFSH(卵胞刺激ホルモン)だけを遺伝子組み換え技術で抽出し、製剤化したものになります。
どちらも卵巣における卵胞を発育させる働きを持ち、患者さんによって使い分けられているのが現状です。製剤としてLHを含まないので内因性のLHを持たない患者さんにはhMGが選択されます。遺伝子組み換え型ですので、不純物がほとんど含まれず、皮下注射なのでhMG製剤と比べて、痛みが少ないのが特徴的です。
以下は厚生労働省管轄 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構の情報を中心に解説させて頂きます。
★FSH製剤
●フォリスチム注300IUカートリッジ/フォリスチム注600IUカートリッジ/フォリスチム注900IUカートリッジ
製造販売元/MSD株式会社
更新日:2014年09月10日
処方せん医薬品
●フォリスチム注50/フォリスチム注75/フォリスチム注150
製造販売元/MSD株式会社
更新日:2014年09月10日
処方せん医薬品
●ゴナールエフ皮下注ペン300/ゴナールエフ皮下注ペン450/ゴナールエフ皮下注ペン900
*製造販売元/メルクセローノ株式会社
供給元/MerckSeronoS.A.(スイス)
更新日:2014年11月12日
処方せん医薬品
**製造販売元/メルクセローノ株式会社
供給元/MerckSeronoS.A.(スイス)
更新日:2014年01月17日
処方せん医薬品
**製造販売元/メルクセローノ株式会社
供給元/MerckSeronoS.A.(スイス)
更新日:2014年01月17日
処方せん医薬品
<一般名(成分名)>
フォリトロピン アルファ(遺伝子組換え)注射用:FSH
<作用は?>
hMGもFSHも卵巣に作用して原始卵胞より発育卵胞を形成する目的で処方される。
<効能効果>
- FSH製剤
視床下部-下垂体機能障害又は多嚢胞性卵巣症候群に伴う無排卵及び希発排卵における排卵誘発(女性)
複数卵胞発育のための調節卵巣刺激(女性)
低ゴナドトロピン性男子性腺機能低下症における精子形成の誘導(男性)
<用法用量>
- FSH製剤
排卵誘発には、ホリトロピン アルファ(遺伝子組換え)として通常1回75IUを連日皮下投与する。卵胞の発育の程度を観察しながら適宜用量を調節し、主席卵胞の十分な発育が確認された後、hCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)製剤を投与し排卵を誘起する。
精子形成の誘導には、本剤はhCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)製剤と併用投与する。
hCG製剤の投与により、血中テストステロン値が正常範囲内にあること及び無精子であることを確認した後に、ホリトロピン アルファ(遺伝子組換え)として1回150IUを1週3回皮下投与する。精子形成の誘導が認められない場合には、本剤の用量を1回に最大300IU、1週3回を限度として適宜増量する。
- 生殖補助医療での使い方
生殖補助医療でのhMG(FSH)製剤の使用法は、月経開始後3~5日目から注射を開始し、1日300~75単位を7~10日間連日投与します。卵胞の発育を見ながら採卵の前まで投与を続けます。
hMG製剤とFSH製剤には、それぞれの特徴があり、薬剤は治療を受ける人の体質や年齢にマッチした製剤が選ばれます。
<薬の歴史>
●フォリスチム
2005年8月 遺伝子組換えヒト卵胞刺激ホルモン製剤「フォリスチム®皮下注」を発売
2008年10月 遺伝子組換えヒト卵胞刺激ホルモン製剤「フォリスチム注カートリッジ」および「フォリスチムペン」新発売
●ゴナールエフ
2009年4月 遺伝子組換えヒト卵胞刺激ホルモン(FSH)製剤「ゴナールエフ®皮下注ペン」を発売。
2009年7月 「ゴナールエフ®皮下注用75」ならびに「ゴナールエフ皮下注ペン450・900」が視床下部-下垂体機能障害又は多囊胞性卵巣症候群に伴う無排卵及び希発排卵における排卵誘発の効能追加承認を取得
以上
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2015年 10月 30日
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