HCG製剤ってどんなお薬なの?
不妊治療に用いられる排卵誘発剤には注射剤もあり、その中の一つがHCG製剤です。
HCGは妊娠が成立すると急速に分泌される糖タンパクであり、妊娠時に形成される胎盤から抽出された性腺刺激ホルモンになります。
そのため、投与している周期では、妊娠していなくとも妊娠検査薬で陽性を示す場合があります。
従って、一般的に5000単位では残存1週間程度、10000単位では2週間程度が残存期間とされているので、妊娠検査薬を使用する際には注意が必要です。
<一般名(成分名)>
ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(Human Chorionic Gonadotropin)
<製品名>
HCGモチダ筋注用3千単位/HCGモチダ筋注用5千単位
HCGモチダ筋注用1万単位
注射用HCG 3,000単位「F」/注射用HCG 5,000単位「F」
注射用HCG 10,000単位「F」
プレグニール筋注用5000単位
同じ成分でも複数の会社から違う製品名で発売されています。
<作用は?>
HCG製剤は、下垂体から分泌される黄体形成ホルモン(LH)と同じ作用をもっており、卵胞ホルモン(エストロゲン)や黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌を促す働きをします。
このため、不妊治療においてHCG製剤は次の2点の目的を持って用いられています。
●1つは成熟した卵胞を排卵させる目的です。
HCG製剤は、投与してから約24-36時間後に排卵がおきることがわかっています。
●もうひとつの目的は、黄体ホルモンの補充に使われるケースです。
黄体機能不全など黄体ホルモンの分泌に不妊原因があるときには、基礎体温の高温期中(排卵後)にHCG製剤を投与することで妊娠の継続が維持できるようカバーします。
<効能効果>
無排卵症(無月経、無排卵周期症、不妊症)
黄体機能不全症
<用法用量>
本剤は添付の生理食塩液1~2mLで溶解し、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンとして、下記のとおり筋肉内注射する。なお、本剤の用法・用量は症例、適応によって異なるので、使用に際しては厳密な経過観察が必要である。
●無排卵症
通常、1日3,000~5,000単位を筋肉内注射する。
●黄体機能不全症
通常、1日1,000~3,000単位を筋肉内注射する。
<使用上の注意>
HCG製剤は性腺刺激ホルモン製剤に対して過敏症の既往歴がある場合は、使用出来ません。
また、HMG製剤と併用、またはHMG製剤に引き続いて使用した場合は、血栓症や脳梗塞等を伴う重篤な卵巣過剰刺激症候群(OHSS)があらわれることがあるので注意が必要です。
OHSS発現について統計データによると、10-20代の女性ややせ形の方に多く発症する傾向がみられます。
これは若年層ではホルモンの分泌が活発であり、排卵誘発作用が強く働く可能性があるためだと考えられています。
OHSSが重傷の場合は腹水の抽出が必要になりますが、基本は、薬物の投与を中断し、“症状の悪化を防止し、人体への負担をかけないこと”を前提に、経過観察を行います。
<副作用>
重大な副作用として上述した卵巣過剰刺激症候群や血栓症などが次のものが報告されています。
その他、発疹や頭痛、めまいなどの副作用を発現することもあるので注意が必要です。
また、長期に渡る連続投与により女性では嗄声、多毛、陰核肥大などの男性か症状が現れることがあります。
<PDMA情報>
ゴナトロピン筋注用1000単位
ゴナトロピン筋注用3000単位
http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/470007_2413402X2053_1_04#WARNINGS
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