産婦人科で使われる貼付剤について

これまで妊娠力向上委員会では、産婦人科領域で用いられる様々な剤型のお薬を紹介してきました。

その中でも特に、エストロゲン製剤などに用いられる貼付剤はとても重宝されています。なぜ、貼付剤が魅力的なのでしょうか。

今回は、貼付剤の概要や他の剤型では得られない利点について、詳しく紹介していきます。

 

●貼付剤とは?

他の剤型と同じように有効成分と必要な基剤が含まれており、これを皮膚に直接、貼ることで効果を発揮します。

 

貼る薬というと、足や腰が痛むときに使うような局所的な効果を狙って使うイメージをもたれるかもしれませんが、産婦人科領域で用いられる場合はそれとは異なり、全身作用を期待して用いられます。

考えてみれば、エストロゲン製剤などは作用させたい部位に直接貼ることが難しいので当然のことかもしれませんね。

 

皮膚に直接貼った製剤からは有効成分が経皮吸収され、血流に乗り全身をかけ巡ります。そのおかげで、体の末端まで薬効が届けられるのです。

薬局で説明を受ける女性

●貼付剤のメリット

何と言っても、肝臓による代謝を受けないということが大きいでしょう。

経口薬であれば服用後、その成分は腸で吸収されてからまず肝臓で代謝を受けることになります。これを初回通過効果といいますが、薬の種類によってはここでかなりの部分が代謝を受けてしまうこともあります。

しかし、経皮吸収であれば肝臓での代謝を受けないので確実な効果が期待できるだけではなく、肝臓への負担を軽減できるという利点もあります。

 

さらに、経口薬を服用後の時間経過による、血中濃度の変化を避けることができます。

例えば、経口薬は服用後、しばらくしてから血中濃度がピークを迎え、そこからは下降の一途を辿ります。そして、次の服用時間が迫った頃には、血中濃度は最も低い状態となります。これでは、血中濃度のピーク時には副作用が起こってしまう可能性が、そして最も血中濃度が低い時間帯であれば、十分な効果が得られにくいことも考えられます。

 

ですが、貼付剤であれば必要な有効成分を必要な分だけ放出し、一定の割合で体内へ取り込むことができます。そのため、血中濃度を一定に、かつ長く保つことができます。結果的には、確実に安定した効果を得ることができるといえるでしょう。

 

それでも、場合によっては副作用が起こってしまうこともあります。

体に異変を感じた時であっても、貼付剤を剥がせばすぐに薬剤が体内へ取り込まれることを防ぐことができるのも大きなメリットです。

 

●貼付剤のデメリット

肌の状態によっては、かぶれや痒みなどを起こすことがあります。

そのため毎回、貼る場所を変えるなどの工夫する必要があります。

 

また、貼る部位によっては気付かないうちに剥がれてしまうことがあるので、十分に注意しましょう。

 

 

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