不妊治療と自己注射について
不妊治療を続けていくにつれて、精神的負担が増えたり費用がかさむなど、不都合に感じることが多くなっていませんか?もちろん様々な要因があると思いますが、そこにはクリニックへ通う時間的制約という点も挙げられるのではないでしょうか。
家事や仕事で忙しい場合はもちろんのこと、不妊治療を行っているクリニックが近隣にないときは、遠方から予約時間に合わせて出掛けていく必要があります。特に、排卵誘発のため投与する注射は、短い間隔で定期的に通院する必要があるので、なおさら負担に感じてしまうことでしょう。
そんなとき、クリニックに行かずとも自宅でできる自己注射はまさに救世主。
自己注射のやり方は?痛くないの?
今回は、そんな疑問にお答えしていきます。
<自己注射できる薬剤にはどんなものがあるの?>
糖尿病では以前から認められていた自己注射ですが、排卵誘発を目的として自宅で行えるようになったのはここ10年弱ほどの話です。
その種類はというと、FSH製剤(排卵誘発注射剤)のフォリスチムやゴナールエフ、GnRHアンタゴニストのガニレストがよく使われている薬剤になります。
製剤自体の詳細については、以前ご紹介したこちらをご覧ください。
ゴナドトロピン製剤:FSH製剤(排卵誘発注射剤)ってどんなお薬なの?
体外受精の時に使われてるGnRHアンタゴニストってどんなお薬なの?
<自己注射は難しいの?>
ほとんどの方は注射の経験がないので、最初は躊躇してしまうかもしれません。
ですが、自宅で注射を始める前にはしっかりと講習や指導を受けることができ、手技の確認も行った上でのスタートになります。説明用の動画や取扱説明書も充実している上、専用の相談窓口を開設している製薬会社もあるので、安心感を持って始められることでしょう。
<通院時と比べてその効果は?>
やはり時間をかけて通院し、クリニックで注射してもらったほうが高い効果が得られるのでは?と考えている方は決して少なくありません。自分で注射するという抵抗感も合わさり、その不安はどんどん大きくなるのかもしれませんね。
しかし、決められた分量・手技で行った場合、排卵や妊娠率に差はみられません。また、副作用発現率にも違いはありませんので、この部分をデメリットだと感じる必要はないといえるでしょう。
<注意点>
ご家庭で注意すべき点は、薬剤の保管方法です。薬液やカートリッジは製品ごとに保管方法が異なりますので、予めしっかりと確認してください。冷蔵庫保存の場合は、凍結しないよう注意しましょう。
<自己注射する場所は?痛みは?>
自宅で注射を行う場合は皮下注射ですので、接種部位は脂肪があるところになります。具体的には、お腹や太ももでするのが一般的です。このとき、連日して同じ箇所で行うと皮膚がかたくなってしまったりすることがあるので、接種部位は左右も含めて変えて行います。
そして気になる痛みですが、皮下注ペンの場合はクリニックで使うものよりも針が細く短いので、痛みをあまり感じない方が多いようです。ですが、上述したように脂肪のある部分に注射することになるので、痩せ型の方は若干、針先の痛みが気になるかもしれません。
<自己注射のメリット・デメリットは?>
自分で手技を覚える必要はあるけれども、便利な自己注射。そのデメリットはどこにあるのでしょうか。それはやはり、通院時と比べて費用がかさむことです。薬剤自体にかかる費用のほか、自己注射に係る指導管理料などが含まれてくるのでさらに高額だと感じるかもしれません。
しかし、その後の通院にかかる時間や交通費などを考慮した場合、負担が軽くなったと答える方が圧倒的です。注射の都合で仕事を休んだり、遠くのクリニックへ行くために時間と交通費をかけずに済むだけではなく、精神的負担も軽減できることは自己注射における最大のメリットになるのです。
終わりの時期を限定することができない不妊治療。少しでも前向きな気持ちを後押ししてくれる要因がひとつでも増えることは、大いに喜ばしいことではないでしょうか。
<参照HP>
MSD株式会社
生殖医療における在宅自己注射Q&A
http://www.msd.co.jp/healthcare/women/selfinjection/index.xhtml
メルクセローノ株式会社
http://www.merckserono.co.jp/ja/patients/fertility/for_patients/for_patients.html?firstLogin=true
All About「不妊治療新薬情報(ガニレスト・フォリスチム)」
http://allabout.co.jp/gm/gc/301978/
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