不妊治療と睡眠について

一般的に不妊治療と聞くと、医療機関に通院して薬を服用し、場合によっては体外受精や顕微授精を行うといったイメージを持たれる方が多いかもしれません。もちろん、不妊治療ではそのような治療も行いますし、状況によっては手術を視野に入れることもあります。

しかし、どのような形の不妊治療であっても、食生活や生活習慣の改善を見直すことで、妊娠しやすい身体作りに力を注ぐ必要があります。それは、どんなに素晴らしい技術を投入したとしても、その土台となる身体が整っていなければ思うような治療効果は期待できないからです。

 

よく言われるのが、バランスの良い食事です。私たちの身体は、口にした食物をもとに作られています。やはり、不要な添加物よりも良質なタンパク質が良いに決まっていますし、ビタミン、ミネラルも積極的に摂っていきたい栄養素です。

また、食生活とあわせて指摘されるのが生活習慣の乱れです。

 

よく、「適度な運動をし、規則正しい生活を送ってください」と言われるのですが、この規則正しい生活とは一体、どのような生活を指すのでしょうか。

 

その最たるものが、睡眠です。

実は、最近の研究で睡眠時間が妊娠に影響しているということがわかってきました。

 

まずは、2018年に発表された海外の論文をご紹介します。

こちらは、2013年から2017年に行われたもので、北米の1,176組のカップルを対象に睡眠時間と妊娠との関係を調べたところ、睡眠時間が6時間未満の男性はそうでない男性と比べて、妊娠力が低いということがわかりました。

また、女性に関しての論文もご紹介します。

北米に住む、21〜45歳の妊娠を望んでいる女性を対象に、8週間ごとに最長12か月調査を行いました。

6,873人の女性について調査したところ、8時間睡眠の場合と比較して6時間未満の睡眠の場合は若干の妊娠力の低下が見られたほか、睡眠障害があると有意性を持って低下するということがわかりました。

 

忙しい現代人にとって、十分な睡眠時間を確保することは難しいかもしれません。ひょっとすると、寝ている時間は無駄だから出来るだけ減らしたいと考えている方もいることでしょう。

しかし、実は、睡眠している間は身体の修復や記憶の整理をしているなど日常生活に欠かせないメンテナンスが行われています。睡眠には、ストレス軽減の効果もありますので、良質な睡眠を取ることは妊娠への近道だとも言えるでしょう。

妊娠を考えたなら、食生活の見直しとともにカップルで睡眠についても考える機会を設けてみてはいかがでしょうか。

 

<参考>

Sleep, sleep disturbance, and fertility in women

2015 Aug;22:78-87.doi: 10.1016/j.smrv.2014.10.005.Epub 2014 Oct 18.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25458772/

 

Female sleep patterns, shift work, and fecundability in a North American preconception cohort study

2019 Jun;111(6):1201-1210.e1. doi: 10.1016/j.fertnstert.2019.01.037. Epub 2019 Apr 12.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30987736/

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