不妊症とクラミジア感染について(2)~クラミジアと不妊の関係

<クラミジア感染後の経過>

女性がクラミジアに感染した場合、その体の構造から速やかに上腹部へと感染が浸透していき、短期間に腹腔内へ波及する恐れがあります。感染初期には自覚症状がない場合が多いので、知らないうちに長期間を経て骨盤腔へ波及し、卵管閉塞、卵管周囲癒着を引き起こし不妊症の原因となる可能性が飛躍的に増加します。

 

女性不妊症患者の所見をみるとクラミジア抗体陽性者の半数以上に卵管周囲の癒着や卵管閉塞があるといわれております。また、妊婦に感染するとプロスタグジンを活性化させるので、陣痛誘発させ、妊娠初期では流産の原因となり、妊娠中期では早産の原因となっています。また、子宮外妊娠の原因とも言われています。

 

クラミジア感染による不妊原因を進行的に細かくあげると下記のようになります。

 

卵管上皮細胞の損傷(卵管内の障害)

卵管周囲癒着の発症(卵管外の障害)

卵管閉鎖さらに卵管留水腫・留膿腫の形成

 

Chlamydia Bakterien - Nahaufnahme

<検査と治療について>

検査には、クラミジア菌が今現在いるかどうかを調べる抗原検査とクラミジアの抗体があるかどうかを調べる抗体検査の2つがあります。

 

不妊治療においてはまずは、血液検査で、過去にクラミジア感染があったかどうかを調べます。もしも、陽性であれば、現在、感染しているかどうかを調べるために追加で抗原検査を行います。

 

基本は抗原検査で、クラミジア菌が今現在いるかどうか、すなわち、クラミジアに今感染しているかを調べる検査です。女性の場合は子宮頸管を綿棒でこすって分泌物を採取し、男性の場合は初尿、いわゆる、出始めの尿をとって検査します。これらの検査によって、クラミジア感染を過去に経験しているのか?現在も感染しているのかが明確に分かります。

 

クラミジア感染症は抗生物質を飲むことにより治療が容易に可能です。(薬剤情報はJAPIC 医薬品情報センターより)

性器クラミジアに感染した場合のジスロマックの飲み方は、4錠(成分のアジスロマイシン250mg x 4錠=1000mgの量)を1日1回のみ服用するだけです。(500mg錠剤の場合は2錠になります)

 

性器クラミジアの治療では、薬の成分の血中濃度を高くして一気に効果を発揮させ、クラミジアを死滅させることがとても有効です。少ない量で服用してしまうと、逆に菌に耐性を持たせてしまい、薬が効かなくなる場合があるのです。そのため一度にまとめて多く服用する飲み方となっています。

 

他にクラリスロマイシン、ニューキノン系の薬剤などが使われますが、これらは1~2週間の服用が必要です。

 

ジスロマックの単回内服は一度内服した薬の成分が約10日間持続して効果が続きます。クラリスロマイシンなどと比べると飲み忘れが無い点、薬の成分が新しい点などから使われることが多いです。

 

それから、クラミジアの治療の場合、パートナーも一緒にお薬を飲むことが大切です。カップルのどちらかが感染していた場合には、パートナーの検査結果がたとえ陰性であったとしても、お二人とも感染していると判断して、どちらも治療する必要があります。

 

クラミジアをパートナーに伝える事は時々、喧嘩になることがありますが、クラミジアは性感染症だけでなる疾患ではないので、その点を考慮の上、話し合って一緒に治療することが大事だと言えます。

 

<予防について>

クラミジアを予防するにはいくつかのポイントがあります。かかってもなかなか自覚症状がない場合もあるので、まずは罹らないための工夫を身につけることが大切だと思います。そしてかかっても早期発見・早期治療が必須です。

1) コンドームの使用

2)パートナーの固定化(安全なパートナーとだけ性交渉する)

3)「感染の可能性が高い」と自分で心当たりがある人は早めに検査・治療すること。また定期的に検査すること。

 

最近、特に問題になっているのが風俗店での咽頭クラミジアの増加です。クラミジアの感染は性器のみではありません。オーラルセックスによる咽頭への感染も増えており、咽頭から性器への逆感染も増えているわけです。そのことも充分に注意が必要です。

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