黄体についての基礎知識(3)~黄体と“卵子と子宮内膜”に係る変化

前回は顆粒膜細胞と莢膜細胞の月経周期での変化をお伝えしましたが、今回は別の角度から“卵子と子宮内膜”に係る変化について解説してまいります。

<卵胞期(増殖期)>

●卵子
卵胞刺激ホルモンの影響で卵巣内の原始細胞が発育を開始します。
そして、卵胞の発育に伴ってエストラジールが分泌されるようになり、成熟していきます。

エストラジールは卵胞ホルモンの成分のひとつであり、その発育状態を測る指標ホルモンとされています。

●子宮内膜
エストラジオールの働きによって子宮内膜が厚くなり、着床へ向けての準備が始まります。

卵巣

<排卵期>

●卵子
LHサージの刺激により停止していた減数分裂が再開して、卵子成熟がさらに進みます。
また、黄体化した顆粒膜細胞からはプロゲステロンが分泌され、排卵に至ります。

●子宮内膜
顆粒膜細胞から分泌されたプロゲステロンによって子宮内膜内膜細胞の増殖が抑制され、子宮内の環境が整えられていきます。

<黄体期(分泌期)>

●卵子
卵子に精子が接着することで、減数分裂が再び開始します。
このとき、排卵後に残された卵胞は黄体へと代わり、黄体ホルモンが分泌されます。
なお、LHサージ後36時間以上経過すると、卵子は受精することができなくなります。

●子宮内膜
受精卵を迎えるため、子宮内膜はやわらかくなり着床に備えます。

<妊娠初期>

●卵子
精子と受精した卵子(受精卵)は、子宮内膜と接着して内膜へともぐりこみ胎盤を形成し始めます。
このとき、胎盤の材料となる絨毛細胞からhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)産生が開始されます。

このhCGは妊娠中は尿中や血中でも増加するため、妊娠検査薬はこの成分を検出することで陽性を判定しています。

●子宮内膜
引き続き分泌されている黄体ホルモンの働きで、子宮内膜は受精卵が成長するのに適した環境を保ち妊娠が維持されます。

 

余談になりますが卵子の元となる細胞は、胎児期に最もその数が多く700万個とも言われています。そして出産時までには100万個近くなり、その後も日々減っていき、性周期の確立時期には数千個となります。

このことは、卵子はすでに胎児期をピークとし、それ以降は増えないことを表しているのです。

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