顕微鏡下精索静脈瘤手術の解説と保険適応について

一般男性であってもおよそ1割程度、男性不妊においては4割以上において見られる精索静脈瘤は、そのままにしておくことで男性不妊の原因となり得ます。かつては保険適用がなかったこの手術は、2018年の4月の保険診療報酬改定で顕微鏡下精索静脈瘤手術が保険適応となったことで、男性不妊に悩むカップルの負担が大きく軽減されることとなりました。

精索静脈瘤について

精子の運動率が低い、数が少ない場合、精索静脈瘤が原因となっていることがあります。精索静脈瘤では、精巣または精巣付近に静脈瘤ができることで血液の流れが滞り、精巣内の温度が上昇して造精機能を低下させてしまうのです。

精液所見の悪化だけではなく、DNAがダメージを受けたり、精子の老化が早まるなど妊娠を妨げる大きな要因ともなりますし、二人目不妊の8割に精索静脈瘤が見られるという報告もあります。

精索静脈瘤は左側にできることが多く、精巣の大きさが左右違っていたり、陰のうに腫れがある、陰のうの表面がでこぼこと虫がいるように見える場合は一度、男性不妊専門医に診察してもらうことをお勧めします。

精索静脈瘤の手術について

精索静脈瘤はそのまま放っておいて治ることはありませんが、顕微鏡下精索静脈瘤手術によって精液所見の改善を図ることができます。手術は局所麻酔の日帰りで行うことができ、保険適用となったため自己負担額は5万円程度となりました。不妊治療においては比較的、安価で手術を受けることができるようになったので、かなり金銭的な負担が軽減されています。

顕微鏡下精索静脈瘤手術の切開部分は数センチと小さく、再発が少ないのが特徴です。手術時間は片側で1時間、両側で2時間弱となっており、治療後3か月から7割の症例で精液所見が改善し、体外受精や人工授精において妊娠率が上がるとの報告がなされています。

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

ページ上部へ戻る