気になる不妊治療の課題や疑問点を浅田先生に聞いてみました!~浅田レディースクリニック院長@浅田先生インタビュー

このたびは久しぶりに浅田レディースクリニック(名古屋・勝川・品川)院長である浅田義正先生にインタビューをさせて頂きました。

2020年は不妊治療分野においても様々な課題が浮き彫りになる一年でした。
コロナ問題、保険診療問題など気になるテーマがありました。

そこで浅田先生にその疑問点をぶつけてみました。
ぜひご覧くださいね。

◎今回の新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、患者さんへの影響はありましたか。

3月の途中から感染が増え始め、4月は影響を受けました。それから徐々に患者さんが戻ってきていましたが、11月後半から第三波と言われ始めてから再び減ってきている印象です。

また、不妊治療に対する助成金の増額や保険適応を期待して、治療を少し先延ばしにしようという人が増えるのではないかと危惧しています。

品川クリニックの受付

◎クリニックとして新型コロナウイルスへの感染対策をされたと思いますが、スタッフの心理状態はいかがでしたか。

それほど心配はしていなかったですし、結局、誰一人スタッフは感染していません。医師会の感染対策をアピールするステッカーを貼るために、ビニールカーテンは受付も含めて全て取り付けましたね。

ただ、4月や5月頃には品川のクリニックに勤務するスタッフは通勤が怖いというイメージを抱いていたので、スタッフの数が多いこともあり一部、自宅待機してもらうという対応を取りました。

◎今後、患者さんへの対応はどのようにされるのでしょうか。

治療を受けられる年齢の方が、新型コロナウイルスで亡くなったり後遺症が残ったりすることはほとんどないと思います。厚生労働省のパンフレットにも記載がありますが、過度に恐れる必要はなく、これだけ世界中に広まっていても胎児の異常は報告されていません。だから、妊婦さんにとってはインフルエンザのようなものだと捉えてもらえればいいのではないかと感じています。

品川クリニックラボ

◎不妊治療に対する助成金や保険診療が取り沙汰されていますが、先生からみて気になる点があれば教えてください。

一番の懸念は混合診療の可否です。保険適用の範囲は、少しずつ積み上げて色々なクリニックに共通する誰がやっても同じ治療から順番にしていけば良いのですが、混合診療禁止だとそれが全て使えなくなってしまいます。

今回のコロナ騒ぎでわかったことは、要するに保険適応するとかしないという話ではなく、病気は待ってくれないので保険のことを言っていてはコロナには対応できないということですよね。

今は、世間一般では保険適応のものが真っ当な治療で、自費診療がそうではないという風潮があります。ただ、不妊症がこれまで影の存在だと言われていましたが、保険適応の件でみんなが議論することになるきっかけになったということは言えると思います。

今後は、ラボの中身や凍結、それを保存していくことに対して保険適応をどうするのか、また胚培養士の国家資格も検討していかなくてはならないですよね。

要するに、自費診療は日陰者ではなく議論をしていくことが大切だと思っています。でも、それこそ乱暴に体外受精はいくら、という議論はして欲しくないですね。

◎患者さんの立場から、こうした方が良いというアドバイスがあればお願いします。

社会情勢など色々あるにしろ、不妊治療は卵子という旬のものを扱うのでその時期を逸せずという一点だけですね。

ただ、今は受精卵や卵子を凍結するという戦略が取れるようになったので、それも組み合わせながら自分の人生設計をして欲しいと思います。

◎今後、妊娠率を上げる技術は出てくる可能性がありますか。

私はいつも患者さんに「卵子の数を増やすために調整卵巣刺激をして、受精率の良い顕微授精をする。そして、多くの受精卵を凍結してそれを一個ずつ融解して戻していくことが最も妊娠率が高いんだよ。」と話しています。

新しい技術としてはこれ以上あまり出てこないのですが、あとは精子を作る、卵子を作るということになってしまい、これらはものすごくハードルが高いですよね。

名古屋駅前クリニック受付

◎現在、取り組んでいるプロジェクトがあれば教えてください。

不妊治療に貢献できるAIシステムの開発を検討しています。既に、AIによる画像解析を搭載したタイムラプスインキュベータの共同開発は行いましたが、次は診療の補助となるAIシステムを検討しています。

◎2021年に妊娠を希望する方々へメッセージをお願いします。

コロナのこともありましたが、これまで都会で一番良いマンションに住むというところから、家族の絆というか家族を作ることへ幸せの形がシフトしてきました。価値観が変わってきたのだと思います。

今は子供よりペットの数の方が多いですが、子供を持つことはお金に変えられないものですし、人生の中の価値として位置付けられ、それを求めて行動をする人が増えて欲しいと思っています。

子供が犬を飼いたいと言って飼うペットはいいのですが、子供は面倒見きれないのでとりあえずペットで子育てをして幸せを感じるのではなく、本当に子育てして欲しいですね。

<まとめ>
インタビュー内容いかがだったでしょうか?
新聞やメディアなどに掲載されている内容とは一味違う内容だったのではないでしょうか?

浅田先生がジャーナリストの河合 蘭氏と共著で書かれた不妊治療を考えたら読む本 科学でわかる「妊娠への近道」は発売して4年以上経過しているのにずっとAmazonの不妊分野で1位を継続しています。私の友人の中にもこの本で「不妊治療の情報過多の世界から救われた」と話している者が多数います。

何を羅針盤にして自分の治療を進めて良いのかを見失ってしまいやすい時代なのだと思います。この混乱期かつ情報が錯綜している時期に浅田先生にお話を伺えたのは意味があるなと思った次第です。

お忙しい中、お時間を取って頂いた浅田先生にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。

<関連サイト>

浅田レディースクリニック

不妊治療を考えたら読む本 科学でわかる「妊娠への近道」

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