精子と亜鉛の関係について

みなさんは普段の生活の中で、亜鉛不足を感じたことはありますか?

亜鉛は体のあらゆる細胞に存在し、体内に存在する300種以上の酵素に必要なミネラル成分です。

遺伝情報が刻まれているDNAの複製やたんぱく質の合成、細胞の再生サイクルにも関与しているため、不足すると抜け毛や肌荒れにもつながります。また、亜鉛不足によって味覚障害になることもあり、これは舌に存在する味蕾の代謝が悪くなることに起因しています。

このように体内機能の維持に必要不可欠な亜鉛ですが、吸収率が低いことに加えて摂取してもすぐに排出されてしまうので、体内に留めておくことが難しく不足しがちです。

亜鉛をサプリメントで摂取する人も増えています。

亜鉛をサプリメントで摂取する人も増えています。

◆ 亜鉛と精子の深い関わり

別名「セックスミネラル」とも呼ばれる亜鉛は、男性ホルモンであるテストステロンの代謝に欠かせない栄養素です。

前立線や精巣、精液などにも高濃度で含まれており、十分な摂取量を満たすことで精子量が増えることがわかっています。反対に不足すると前立腺の障害を招いて勃起障害や性欲減退の原因となります。

さらには睾丸の大きさにも関わっているという研究報告もあり、男性の生殖機能を向上させるといっても過言ではありません。

◆ 亜鉛を効率良く摂るには?

精子にとって大切な亜鉛ですが、体内で作り出すことはできないため外から補充することが必要となります。きちんとした食生活を送ることで亜鉛不足を防ぐことができますが、含有量が高い食品であれば、より多く体内に取り込むことができます。

亜鉛の含有量が多い食品
・ 生牡蠣(冷凍したものだと、半分以下になるといわれています)
・ レバー
・ 卵黄
・ 牛肉
・ チーズ

この他、魚にも含まれますが、加熱することで半減してしまうので生で食するのがベストです。

また、亜鉛の摂取量が十分量であっても体内吸収率は約30%と低く、コーヒーやアルコールの摂取でさらにその量は減少します。従って、このような嗜好品は控えめにするのがいいでしょう。

◆ 亜鉛の過剰摂取が招くもの

では、亜鉛を含む食品をやみくもに摂取すればいいのでしょうか?
必ずしも、そうではないようです。

摂取のしすぎは、めまいや嘔吐などの症状を伴う急性中毒になる可能性があります。さらに、亜鉛を長く過剰摂取した場合、銅や鉄の欠乏症を招いて貧血や免疫力の低下、さらには白血病をも引き起こすことがあります。

亜鉛の適切な摂取量は年齢や食生活によっても変動がありますが、厚生労働省が提示している指標として、成人男性で10mg/日、女性で8mg/日*となっているので参考にしたいですね。最近は食品だけで十分量がとれない場合、サプリメントを服用する方も多いようです。

その際には、決められた限度量に注意しましょう。また、飲み始めは特に、急激な副作用の発現を防ぐため空腹時は避けた方がいいでしょう。

* 亜鉛の摂取指標は、厚生労働省が作成した「日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要を参照
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf

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