不妊治療する前に治しておきたい疾患~トリコモナス膣炎の基礎知識
様々な性感染症の中でも、幅広い年代でみられるのがトリコモナス膣炎です。
非常に小さな原虫によって発症するのですが、一体どのような症状を引き起こすのでしょうか。
今回は、「不妊治療する前に治しておきたい疾患〜トリコモナス膣炎編」をご紹介していきます。
●トリコモナス膣炎とは?
0.1ミリと小さなトリコモナス原虫によって引き起こされる性感染症です。
主に、性行為によって感染します。しかし、トリコモナス原虫は乾燥していない状態を好むため、浴槽やプール、タオル類などを介して感染することもあり、性交渉の経験がない世代であっても罹患することがあります。
幅広い年代で感染者が発生しており、潜伏期間が数日から長い時では、1ヶ月ほどあることも特徴です。
●どのような症状があらわれるの?
男女ともに感染し、男性の場合は無症状の割合が多いのですが、排尿時の違和感や痒みなど尿道炎の症状がみられることがあります。また、場合によっては前立腺炎も併発もみられます。
女性の場合は、膣に感染して増殖することで膣内の細菌バランスを崩してしまいます。もともと、膣には多様な菌が常駐することで自浄作用を保っているのですが、これが崩れてしまうことで外部からの刺激や雑菌の影響を受けやすくなってしまうのです。その結果、おりものの異臭や色に変化、膣の痒み、性交や排尿時の痛みを感じるようになります。
しかし、感染すれば必ず症状が出るわけではありません。
少しの異常であれば、ちょっと体調が悪いのかもしれないと兆候に気付かないこともありますので、気づかないうちにうつしてしまっているということもあります。
●どのような治療を行うの?
トリコモナス原虫に有効な抗原虫剤のメトロニダゾールを10日間、またはチニダゾールといった抗トリコモナス剤を7日服用します。女性であれば内服薬にプラスして、膣剤を併用することもあります。
●不妊との関係は?
直接的に不妊症の原因となるわけではありませんが、膣炎を放っておくと卵管や子宮内膜にも影響を及ぼすことも考えられます。
また、妊娠中の感染は早産や、稀に出産時の産道感染を引き起こしますので、しっかりと治療しておくことが大切です。
トリコモナス原虫の感染を防ぐためには、性行為の際に必ずコンドームを使用するようにしましょう。また、タオル類などは使い回しせずに、清潔なものを使うようにします。
それでも、もし感染してしまったら、自身だけではなくパートナーも一緒に治療することが基本です。なかなか話しにくい話題かもしれませんが、相手のことを考えてこそ。互いに感染しあって、再発を繰り返すことのないようにしましょう。
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