浅田レディースクリニック「サプリメントリニューアルプロジェクト」について
このたびは浅田レディースクリニック浅田義正院長にAsadaサプリメントリニューアルについてお話を伺いました。
浅田先生とはオールアバウトで取材して以来、たびたびお話を伺っておりますが、サプリメントについては詳しくお話を伺ったことがないので、個人的にも興味がありました。
不妊治療の現場においてもサプリメントを活用されるケースが増えてきた昨今、浅田先生がそれについてどのように捉えられているのかも聞いてまいりました。
それではどうぞ!
1) 浅田先生は以前、お話を伺った時にサプリメントについてはあまり肯定的ではなかったと記憶していますが、今はどんなお考えでしょうか?
不妊治療の話をする中で、サプリメントの話が出てくる時に私は一貫して「不妊治療における妊娠率に対し、サプリメントは関係ない」と話しておりましたし、今でもその点については変わりありません。
妊娠で最も大事なのは卵子で、その次に精子です。この2つの遺伝子に妊娠へ繋がる大きな要因があり、それにはまったく関係しないからです。
しかしながら、患者さんの治療の中で必ずと言って聞かれるのは「自分で出来ることはないのでしょうか?」「どんなサプリメントを摂ればいいのでしょうか?」という質問です。
その背景にあるのは妊娠できるのであろうかという漠然とした不安感を少しでも振り払いたいという心理だということに気づきました。
無下に「サプリメントを飲むな」というのも意味がないと感じていました。なぜなら、深夜のCMやネットを見て、明らかにカラダに悪影響を及ぼしそうなものを服用しているケースもあるからです。
サプリメントに含まれている栄養素は本来、栄養や代謝に関するもので健康維持に必要なものです。もちろん、私も自分の健康維持のためにサプリメントを服用しています。
よって、不妊治療に元気に取り組んでもらうため、カラダの状況を整えるためにサプリメントを活用するのは必要なことだと考えるようになりました。
そこで、患者さんに服用してもらうにあたり、内容と品質にこだわったものを探したのですが、ありませんでした。そうであるならば、自分達で作るしかないと思い、旧Asadaサプリを開発したのです。それが約10年前の話になります。
2)今回、新しいサプリメントを開発されたとのことですが、その意図を教えて頂けますか?
最初に乳酸菌サプリメントを新しく追加したいと考えておりました。ご存知の通り、膣内や子宮内には細菌叢があり、それを遺伝子解析できる検査が出来たので、不妊と細菌叢の関係性が言われるようになってきました。
そして、乳酸菌(ラクトバチルス)が重要だと言われています。そこで、その増加に寄与するサプリメントを探したのですが、内容があいまいだったり、価格が異常に高かったりで、当院で薦められるようなものではなかったので、独自開発を行うことになりました。
今回は不妊治療分野で研究開発を実績を積み重ねているパートナーズ社と共同開発することとしました。
乳酸菌の種類がエビデンスで明らかであること、品質が現存する最高品質であること、そして価格は患者さんの負担を出来るだけかけないことなどの条件を設け、一緒に課題解決して、新商品を1年かけて開発しました。
それが今回のAsada サプリⅢ Probioticsとなります。
ここだけの話、今、非常に高い製剤が不妊治療の分野で売られていることに怒りを感じていましたし、本当にそれだけの根拠と価値があるのかと疑問に感じていました。
自分達で作ったことにより、やはり自分達の仮説は正しかったと考えております。
3)今までのASADAサプリもリニューアルされたと聞いておりますが、その意図を教えてください。
今回のASADAサプリ3の開発を通して、パートナーズ社のサプリメントへの取り組み方が素晴らしいことも分かり、改善が必要だと思っていたASADAサプリの1と2も一緒にリニューアルしていくこととなりました。
サプリメントも時代のニーズに合わせて変えていく必要があると感じていました。例えば、抗酸化に関しても以前はそれほど着目されていませんでしたが、今では多くの論文が出てきており、卵子にも精子にも影響することが明らかになってきました。
私自身は名古屋大学時代に過酸化脂質の研究を行っていたこともあり、詳しく理解していましたが、患者さん達にも広く理解されるようになってきたと感じています。
よって、酸化ストレスが与える影響を減らしたいというニーズも明らかに増えてきています。それが今回のASADAサプリ1のリニューアルにつながっています。成分と容量とその原材料を見直し、サプリメントの設計から再構築して出来上がったものとなります。
この数年、腸がカラダの様々な免疫や脳の健康に影響していることが論文で報告され、明らかになってきています。また、最近、腸のバリア機能が弱く、それが原因で様々な疾患に結び付いている方が増えている状況もあります。
腸の健康を維持することがひいてはカラダと精神の健康につながり、子宮内の環境にも影響すると思っております。そういう背景から、ASADAサプリ2では腸の健康を意識した内容に再設計しました。
4)不妊治療の保険診療が開始されましたが、先生としてはどのように捉えておられますか?
今まで、自由診療の中で妊娠率を少しでも高められる医療をずっと模索してきました。そして、出来るだけ無駄を省き、妊娠したいという要望に応えてきました。どの年代でもどんな状況でも対応できるように個別医療を提供してきました。
しかし、今回の保険診療はその流れから大きく外れており、ある意味、政治的な意味合いで作られた新しい不妊治療のカタチと思って頂いた方が近いと思います。
そして、今まで我々が提供してきた高度生殖医療とは全く別物だと捉えて欲しいと思っています。
診療というのは常にカラダの変化に応じて行うものです。日によってもカラダの状況は変わるし、ホルモンの状態も変化します。そのような変化をきめ細やかに察知し、薬の投与量を調節し、卵子を育てていく。
そして、ベストなタイミングを図って卵子を採取し、媒精し、受精卵を培養する。それを凍結保存し、母体がベストなタイミングで移植する。
これらの工程一つ一つにノウハウがあり、我々が定めた手順に則って、高い治療クオリティの維持を保っています。当院は受精操作、培養、凍結保存を担当する胚培養士が30人以上在籍している訳です。
不妊専門クリニックによっては胚培養士が1~2人のところもたくさんあります。
保険診療になると、我々のような多くの培養士が複数で担当し、きめ細やかに管理する不妊治療も、培養士が1人しかいない不妊治療も同じ点数で評価されることになります。
保険診療においては「どんなレベルの医療機関でも可能な「標準的な治療のガイドラインが作られて、それに則って治療してください」という形になっているのです。
保険診療というのは「ベストな不妊治療が安い価格で出来るものではない」ことを理解して頂くべきだと思いますし、保険診療の治療があなたに合うかどうかをきちんとドクターと話し合って、決めていくことが大事だと思います。
もちろん、出来るだけコスト少なく、カラダにも負担が少なく妊娠して頂くことは医療機関の望むところでもあります。
しかし、不妊治療の場合は「妊娠して幸せな家庭を築きたい」という希望に応えることの方が大事な訳で、そのためのに必要な治療オプション法をきちんと提示していくことも必要と考えています。その点はしっかりと話し合って決めていくことが必要かなと感じています。
今後、「とりあえず保険治療やっておくか」という医療機関が増えると思っていますが、それに対して、私のように違和感を持っている医師も多いと思っています。
まとめ
今回は浅田先生にインタビューをさせて頂きました。
浅田先生は常識を疑うことから今の治療スタイルを確立し、高い妊娠率を維持してきている日本をリードする代表的な不妊専門クリニックです。
今回のサプリメントについても、義憤と常識を疑うという点から設計、リニューアルされたということがよく分かりました。
保険診療というのは食事でいうところのランチのA定食みたいなものなので、患者さんのカラダの状況にあったきめの細かい治療は出来ません。この治療法が保険で認められているので、とりあえず適合しているからやってみるかという感じにならざるを得ません。
これが吉と出るかどうかは1年後、2年後の妊娠率のデータで明らかになると思います。
先生方の懸念が杞憂に終わるといいのですが・・・。
<関連サイト>
浅田レディースクリニック
https://ivf-asada.jp/
Asadaサプリ
https://ivf-support.jp/list/
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