菊池レディースクリニック(静岡)~開業前インタビュー
今回は、2020年春に新静岡駅前にて菊池レディースクリニックを開業される予定の菊池 卓先生にお話をお伺い致しました。
静岡県ご出身の菊池先生は、県内の病院でお産やがんについてのキャリアを積まれた後、生殖医療専門のクリニックで不妊治療に携わっておられました。幅広い分野の知識をお持ちであり、何よりも患者さんの気持ちに寄り添った治療をされていらっしゃいます。
今回、開業されるに至った経緯やその思いなどを教えていただきました。
●ドクターになろうと思われたきっかけについて教えてください。
小学生の頃に、アルベルト・シュバイツァーの伝記を見てかっこいいなと思ったのがきっかけです。外科や救急医療に惹かれ、国境なき医師団に入りたいと考えていました。
小学生なので漠然としたイメージではありましたが、アフリカなどで医師として活躍することに魅力を感じていましたね。
●なぜ、産婦人科を選ばれたのでしょうか
最初はテレビに出てくるような救急も外科も手がけるスーパードクターになりたいと思い、臨床研修先に心臓外科を選びました。心臓外科は命を救うとても意義のある仕事です。しかし、手術対象者は高齢の方が多く、手術も長時間になります。手術後も長期のリハビリに苦しんでいる患者さんも多くいらっしゃいました。手術をして命が救われても、『おめでとう』とは言えなかったです。その後救急科を研修しても同じ気持ちになりました。
そんな中で産婦人科の臨床研修が始まりました。
臨床研修を始めた頃、産婦人科は全く考えていなかったのですが、実際に行ってみると良い意味で裏切られましたね。待機(当直)が月の1/3~1/2、休日でも人手が必要なら呼び出しがくるというハードなものでしたが、とても楽しかったです。帝王切開術の患者さんも1週間で退院して、1ヶ月後に会うと母子共々とても元気にしている。今まで言えなかった『おめでとう』を言える。産婦人科医になることを決めました。
●現在は、不妊治療に力を入れていらっしゃいますが、そのきっかけについて教えてください
総合病院や大学病院で産婦人科医をしておりましたが、お産とがん、そして子宮筋腫や内膜症などがメインでした。人工授精まではしていましたが、不妊についてのイメージがわかないというのが当時の印象でした。
とは言え、全てを診ることができる救急医療をかつて目指していたこともあり、産婦人科へ行った以上はどの分野にも取り組みたいと思っていました。体外受精もできるようになりたい、やってみたいということで不妊治療施設へ移ったことが足を踏み入れることになったきっかけです。
体外受精の世界に入ったところとても楽しく、自分に合っているのを肌で感じました。
何よりもなかなか妊娠されない患者さんが妊娠、出産された時にいただく『ありがとう』の言葉は今までのどの科にいた時よりも強く感じました。
そして、この少子化という国の大問題に対して少しでも貢献出来るというのもとても魅力的でした。
●開業に至るきっかけについてお聞かせください
しっかり刺激して採卵し、戻すという標準の療法はありますが、その方法が合わない方もいらっしゃいます。雇われている身として、そういった治療の提供ができないことに歯痒さを感じていました。私の中では、こうしたら上手くいくのにという方法を患者さんに提案したいのに、それができない。
今まで私を雇ってくださった先生方は人格、腕共に素晴らしい方々です。しかし、私は私の思うベストを患者さんに提供したかった。
病院やクリニックに勤務していて給料が保証されているのに対して、開業にはリスクが伴いますが、やはり患者さんに対してベストな方法を提示するにはそうするしかないという気持ちが固まってきて開業することにしました。
●静岡で開業されるのはなぜでしょうか
個人的事情を言えば、自分が生まれ育ったところであり地元だからでしょうか。
大学、社会人になってからは転勤で様々なところに住みましたが、静岡はとても素晴らしいところです。
ただ1つだけ不満がありました。若い人達が東京に出て行ってしまうということです。
これは不妊治療にも言えまして、以前東京のクリニックで勤務していたのですが、静岡からわざわざ来られているかたもいらっしゃいました。
私としては、静岡の問題は静岡で解決したいです。そのために、私としては、ここで静岡の方の不妊治療を完結できるようにしていくつもりです。
●できれば、静岡県内から人材が集まってくれればいいですよね
そうですね。私としては、静岡を盛り上げていこうという気持ちでやっています。出来るだけ、静岡の方に来てもらいたいですよね。
クリニックは、静岡駅、新静岡駅およびバスターミナルの近くにあり、利便性は非常に良いです。情熱のある方の募集をお待ちしております。
●クリニックは連携が大事だと思いますが、その点はいかがでしょうか
医師会に参加をして、他の診療科の先生方と協力をしていきます。また、産科については、以前副院長をしていた近隣のマタニティクリニックとの連携も図っていきます。
手術が必要な患者さんも出てくると思うので、市内の総合病院との連携も視野に入れています。
●男性不妊に対しては、どのように取り組んでいかれるのでしょうか
男性不妊も含めてトータルで診ることができるのが理想ではありますが、現実問題として大きい施設でも週に2日ほどの外来を設けるにとどまっています。これから連携を探っていき、将来的にはMD-TESEや精索静脈瘤のオペもできるようになりたいですね。
やはり、夫婦で来院してもらってそれぞれと話ができる方がいいと思っています。
●男性不妊で問題となっているのがセックスレスやEDですが、先生のお考えをお聞かせください
EDに関しては、非常に根深い問題ですよね。解決も本当に難しい。泌尿器の先生も含めてディスカッションをしているところもありますが、女性カウンセラーの話を聞いても解決の糸口が見つからないことがほとんどです。
私が取り組みたいと思っているのが、絶対にセックスしなければいけないという考えから自分を解放してあげることです。そう思うから大変になってしまう。カップとスポイトを渡して、精子を入れるだけ。自分でマスターベーションをしてもらって腟の中に入れるだけでも効果はあるので、まずは心の軽減をしていきたいですね。
セックスをしなければいけないというプレッシャーによって、お互い嫌気がさしてしまいますし、我々は夫婦を不仲にすることが一番よくないと思っているので、そこのプレッシャーを軽くしてあげたいですよね。
●治療について、こだわりがあれば教えてください。
子宮因子側の着床不全に取り組みたいと思っています。
ここが今一番、県外に流出している部分でもありますので、着床不全と不育の境界線も含めて行っていきたいですね。
また、子宮卵管造影で卵管が詰まっていると言われた方は再検査によって、その60%が実は通っていたというデータがあります。粘液や卵管の入り口の一次的なけいれんのために引き起こされることが多く、ガイドラインでは選択卵管通水検査を行うことが推奨されているのですが、なかなか実施施設が少ないのが現状です(当院では両方行えます)。卵管が詰まっていると言われてショックを受けている患者さんも多く、しっかりとした検査を行っていきたいと考えています。
●最後に伝えたいことがあればお願いします
県外に行く前に一度、当院に来て欲しいですね。自然周期クリニックと刺激周期クリニック両方で勤務した経験を生かし、他院で上手くいかなかったからこそ、他の選択肢も視野に入れて治療に取り組みたいと思っています。
気軽に相談に乗れるような環境を作っていきますので、ぜひご相談ください。
<まとめ>
不妊で悩む静岡の方々を救ってあげたいという菊池先生の気持ちが伝わるインタビューとなりました。
現在、菊池先生レディースクリニックでは、来年春の開業に向けて人材を募集していらっしゃいます。この時期から募集を開始するのは異例とも言えますが、同じ志を持つ方と一緒に仕事をしたいという先生の思いの表れでもあります。
クリニックの立ち上げに一から関わり、多くの患者さんに貢献したいと考えられている方が一人でも集まることを願っております。
菊池先生、お忙しい中お時間を頂戴しありがとうございます。
この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
<参考サイト>
菊池レディースクリニック 求人募集サイト
https://kikuchi-lc.work
ハローワーク情報(菊池レディースクリニック)
https://tinyurl.com/yxza33qp
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